Photo by TOMUJI OHTANI
'07年10月リリースの3rd『EXIT』(P-VINE)の好セールスで注目を集めているミュージシャン、トクマルシューゴ。彼をどのように紹介したらいいんだろう? ソングライティングやアレンジ、楽器演奏はもちろん、レコーディング、ミックスまで自身で手掛ける才人なのだが、驚かされるのは楽器/非楽器関係なく取り入れて構築されたオリジナリティたっぷりなそのサウンドだ。空缶やゴミ箱、鉄板、ガラクタなどを叩いて独自のリズムを紡ぎあげて、卓越した弦楽器のプレイとともに各種の楽器の操ることで編まれた音世界にはユニークなひとつの法則がある。それは徹底して“ノー・ライン録音、ノー・シンセサイザー”が貫かれていることだ。つまりトクマルシューゴのレコードから聴こえてくる音のすべては、何かしらのかたちで震わせた空気の音を様々なマイクを用いて録られている(マイクもいろいろとこだわっている模様)。
と書くと、さぞや前衛的な音楽だろうと想像してしまいそうだが、ところがそうならないところが凄い。ブルース/カントリー/ジャズ/ポスト・ロック/エレクトロニカ/ワールド・ミュージックなどをボーダレスに盛り込んだ先駆的なポップ・ミュージックである。メロディもキャッチーであり、いろんな音楽エッセンスを取り込んだ無国籍情緒のスケールやメロディも聴きどころだが、自身の見た不思議な夢がテーマだったりと、ユーモアあふれる詞世界を歌い上げる甘い歌声もまた魅力。コーネリアス(小山田圭吾)の趣向性と通じるところもあるかもしれない。けれど、トクマルシューゴのほうがもっと“言葉”や“歌もの”にもこだわっているといえばいいか。
トクマルシューゴ『EXIT』
1st『Night piece』('04年)、2nd『L.S.T.』('05年)を米国、ヨーロッパ、オーストラリアなど世界十数国でリリースしてきており、国内より先に海外で大きな注目を集めたマルチ・ミュージシャンでもある。やや内省的とも言えるテイストの前二作に比べると(でも『Night piece』も『L.S.T.』も名盤ですよ!)、『EXIT』(P-VINE)は楽曲によってリズム隊やゲスト・ミュージシャンを起用したりと開放的で、楽曲的にもキャッチーさが増しているのが素晴らしい。これから初めてトクマルシューゴを聴くというひとには入門編として『EXIT』をオススメしたい。個人的には昨年リリースされたアルバムのなかで五本指に入る愛聴盤であり、その音楽性には久々に鳥肌立つほどのショックをおぼえた。
トクマルシューゴのメインギターは
オール・ローズウッドのFENDER JAPAN TL69-150
2月2日発売Player3月号「From The Backstage」のページでは、2007年12月9日に代官山UNITで行なわれた、トクマルシューゴ&ザ・マジックバンドのライヴ機材を取材させていただいた。『EXIT』のレコ発ツアーの千秋楽となったこの日の公演は当然ソールド・アウト。満員のオーディエンスを前に、ちょっと他では聴けないユニークなバンド・サウンドを聴かせてくれたマジックバンドである。音もユニークだったら使っている楽器もユニーク。メロディオン、トイ・ピアノ、アコーディオン、リコーダー、灰皿などを含めたパーカッション類…。そのびっくりなステージ機材については2月2日発売Player3月号P.200〜を御覧いただきたい。
また、4月6日(日)にも代官山ユニット公演が行なわれるので要チェック。トクマルシューゴのヴォーカルと流麗なフィンガリングによるスピーディなギター・プレイがたっぷり楽しめるはずだ。あ、そうそう、独特の“間”で独り言のように呟かれるMCもツボも最高で笑いが止まらなくなるので、何よりまずライヴを目撃してほしい。多分チケットはソールド・アウトになってしまうと思うのでお早めに。
