60〜70年代ロックを彷彿とさせる疾走感溢れるストレートなロックの初期衝動と、日常生活に根ざしたリアルな歌詞が魅力の4人組ロックバンド“ザ・ビートモーターズ”。大学時代の音楽サークルで出会ったことがきっかけで結成されたビートモーターズは09年にデビューを果たし、これまで3枚のオリジナル・アルバムをリリースしてきた。彼らの魅力として、60〜70年代のロック、ブルース、パンク、ソウルといった幅広い音楽性を独自のセンスで吸収したオリジナリティ溢れるバンド・サウンド、そして、イマジネーションを刺激する日本語の味わい深い歌詞の世界観が挙げられる。今年3月にリリースされた最新作『3』は、幅広い音楽性の中で必要なものだけを吟味することで、その魅力をより詰め込んだ力強いサウンドになっている。また、“現実”と“理想”を狭間で色々な思いを巡らせ、過去の青春を懐かしみながらも前に向かって歩いていこうとする、説得力溢れる歌詞の世界観は実に説得力に溢れている。そんな充実作を完成させた、ザ・ビートモーターズの秋葉正志(vo&g)、木村哲朗(g)、ジョニー柳川(b)、鹿野隆広(ds)が、バンド結成の経緯、独自のサウンドを作り出す拘り、新作『3』やライブへの意気込みについて語ってくれた!
ハート・ビートモーターズ―影響を受けたミュージシャンやバンドは?秋葉:中学の頃、母親がガット弦ギターを買ってくれたのがきっかけでした。母の影響でそのギターを使い、ビートルズやカーペンターズをコピーしていましたね。初めて買ったCDはFIFAワールドカップかアニメ『スラムダンク』のサントラだったかな? 初めて観たライブはLUNA SEAでした。大きなステージに広がる彼らの“ドデカい音”が本当にカッコ良いなって。高校の時に音楽が好きな友人ができ、CDを貸し借りし合いうちに音楽にハマっていき、本格的にバンドを始めました。その頃ははっぴぃえんどを聴いていましたね。
ジョニー:小学生の頃からラジオを聴くようになって、音楽に興味に興味を持ち始めたんです。初めて楽器を買ったのは中学校の時。チャッティング・バードという、日本のブランドのSTタイプを買ったのがきっかけでした。今はベースですが最初はギターだったんです。中二の頃、文化祭で奥田民夫さんの曲を演奏して、それから当時流行っていたHRが好きになり、彼らのルーツにあるブルースを聴くようになりました。高学年の時はMr. Childrenをよく聴いていましたね。ベースを弾くようになったのは、ビートモーターズです。ポール・マッカートニーや細野晴臣さんみたいに“歌に馴染むベーシスト”が自分のフェイバリットですね。
木村:僕もMr. Childrenが好きでしたが、小学校の頃はただ聴くだけでしたね。ギターを手にしたのは中学の時です。僕の中学はクラシック・ギターの名門校で、部の同級生が新しいギターに買い替えるタイミングでガッド弦ギターを下取りしたんです。彼らに影響されて、ナルシソ・イエペスの「禁じられた遊び」とか弾いていました。初めて買ったエレキはアイバニーズで、緑色で尖ったメタル系のギタリストが使うようなモデルでした。
鹿野:小学校の頃にピアノを初めて、中学から友人に誘われてバンドで演奏するようになりました。当時XJAPANが流行っていたんですが、彼らの曲にはピアノが導入される楽曲があり、ピアノを弾ける奴がなかなかいなかったんです。Xの「Rusty Nail」とかを演奏していましたね。ドラムは、大学のロック・サークルに入ったのがきっかけでした。クーラー・シェイカーやストーン・ローゼスが好きです。
―ザ・ビートモーターズの曲には、UKロックのビートとUSロックのイナタいグルーヴを取り込んだ独自のリズム感があり、聴いていてとてもおもしろいですね。秋葉:特に意識していないですけど、自然に出ているのかもしれないですね?
ジョニー:秋葉の歌メロ、曲の雰囲気に合わせたビートとなると自然にそうなるんです。彼のタメ気味なグルーヴを引っ張り過ぎないように、僕と鹿野がかなり前ノリなリズムで演奏することもあるので。アレンジは、多くがスタジオに入る前に秋葉がデモを完成させていて、それを参考にバンド全体で一緒に録ります。
―事前に完成させるデモはどんな状態なのでしょうか?秋葉:ドラムが趣味なので、ドラムを自分で入れて、それから全体のアンサンブルのイメージが見える状態のものを作ります。
ジョニー;結構リバーブが掛かっている音が好きみたいで、デモだと「お前はブライアン・ウィルソンか!?」と、ツッコミたくなる音作りだったりするんですけどね!(笑)
秋葉:なんかあの感じが好きなんだよ!(笑)
―初めて出会った時のことを覚えていますか?秋葉:鹿野とは高校からの知り合いなんです。埼玉の熊谷の本当に狭いコミニティ。鹿野は、当時から既に曲を書いてアレンジできる能力がありました。他のメンバーとは大学のサークルで知り合って、サークル活動の延長で繋がっていった感じでした。
ジョニー:明治大学の音楽サークルで知り合ったんです。サークルと言っても、ロック、ブルース、ジャズ、HR&HMと色々あって、僕らのサークルはザ・ローリング・ストーンズをやっていました。入学式の時に先輩が演奏するんですが、もうそれが30年間くらいずっと続いている。結構伝統はありました。本来、好きな音楽がバラバラなんですが、そんな感じのサークルに入った奴らなので、何となくの音楽の“共通言語”は一緒なんです。
秋葉:高校の頃から曲を書いていたので、バンドを結成したい気持ちはあったんです。大学の頃に自分の書いた曲を皆でスタジオに集まった時に聴かせて、皆共感してくれてバンドが始まりました。
ジョニー:最初聴かせてくれたのは弾き語りだったよね? でも、プログレッシブ・ロップのようなコード進行と変拍子が入っていて“おもしろいな!”と。
秋葉:はっぴいえんどみたいなバンドがやりたかったからね! 自分のルーツには、ああいった洗練された言葉遊びが入ったロックがあるから。
―バンド名の由来は? 秋葉:02年にポール・マッカートニーの『ドライブ・イン・ジャパン・ツアー』を皆で観に行ったんです。その時、会場でもらったライブの告知を詰めたビニール袋に“ハート・ビートモーターズ”って書いてあって、それに自分で“ポール”ってサインして(笑)。
ジョニー:今もその袋持っているよ!(笑)
木村:で、僕が「ビートモーターズでいいじゃん!」って。そうやって自然に決まりました。
―これまでリリースしたアルバムを経て、曲作りはどのように変化しましたか?秋葉:昔は漠然と形だけで考えていたけど、歌う様になって歌メロから考えるようになりました。曲全体のイメージというより、ちょっとした“きっかけ”を探してキャッチする感じ…。と言っても、ビートルズの「ハピネス・イズ・ア・ウォーム・ガン」みたいに複雑なのを目指してもそうはならないんですが、そうやって変わっていった感じですね。
自分達らしい初期衝動―1stミニ『気楽にやろうぜ』(09年)の頃から、既にこのバンドならではの“スケール感の大きなロック・サウンド”がありますよね。秋葉:そういってもらえると嬉しいです。大学を卒業して、それぞれの進路が色々と決まっていく中で「とりあえずCDだけも作ってみようぜ!」と、勢いでレコーディングしたものなんです。
木村:ライブのレパートリー曲を収めたのもで、今聴くと結構ハチャメチャな部分もある。楽器のチューニングも合ってなかったし、リズムもズレていたりで(笑)。
ジョニー:だって、チューナーを導入したの遅かったじゃん! ある日、秋葉が「チューナー買ってきて「家にあるギターをチューニングするのが楽しい」って(笑)。たしか、大学2年の頃だよね。既にチューナーを持っていた自分からしたら「最初に買えよ!」って思ったもん(笑)。その頃、自分達の持ち曲で良いものピックアップしてレコーディングしたんです。少しの拙さはあるけれど、初期衝動もあるし“自分達らしさ”は収められているなと。
―「ジェット先生」で聴ける疾走感溢れるバンド・サウンドは“このバンドならでは”のものだなと。秋葉:ザ・ボーイズやザ・ダムドといった70年代のULパンクのイメージですね。あの感じに、ストーンズっぽいリフをプラスして曲を完成させました。
―こういった楽曲と、日本語で独自の世界観を出した「恋するふたり」が一緒に収録されていて、音楽性の振り幅の広さに驚かされました。秋葉:あれは、ブレイク前の70年代RCサクセションに影響を受けた曲です。ああいった影響も自分の中にあるんですよね。
―2ndミニ『素晴しいね』(10年)は、『気楽にやろうぜ』の要素をベースに、鍵盤などのサウンドが加わり、よりサウンドがカラフルになった印象を受けました。秋葉:実は、このアルバムもライブ・レパートリーにあった曲をメインに収録したものなんです。だから『気楽にやろうぜ』と比べて、音楽性やスタンスにあまり違いはないはずなんです。
ジョニー:もしも何らかの違いを感じるのなら、それは1回のレコーディングを経験して自分達に余裕があったからなのかも。
木村:うん、スタンスは変わってなかったよね。色々なライブを経て、周りが「ビートモーターズはロックンロールなバンド」と、認識してくれるようになった頃だった。
鹿野:実際、対バンでもそういったバンドと一緒に演奏していたしね。でも、自分達の好きだったはっぴいえんどとは、真逆にいるなと感じ始めた頃でした。
秋葉:自分の声質とかの影響もあったと思うよ。バンド・アンサンブルもラフだったし、だから“もっとバンドとして個人として成長しないといけないな”と思うようになった頃でしたね。
―その後、1stフル・アルバム「The First Cut is The Sweetest」(11年)をリリースしましたが、本作はこれまでに培ってきた音楽性にさらに磨きが掛かった印象を受けました。そして「ボーイフレンド」のようにマルーン5を彷彿させる、エレクトリックなダンサブルさが加わっているのも特徴だなと。秋葉:自分達が好きな音楽的要素を集めて完成した1枚ですね。ロックンロールバンドだけど、統一された世界観ではなく異なったテンポやサウンドのテイストを加えて、より色彩豊かなものにしたかったんです。この作品で初めて僕らを知ったリスナーは、色々な要素を取り込んでいるので少し混乱したかもしれないけど、あれだけ色々な要素を吸収したアルバムを作れたから、より自分達らしくなった今のサウンドがあるんだと思います。
―2ndフル・アルバム「Gris Gris」(12年)は、前作のカラフルなテイストからを経て、よりバンド・サウンドを濃く内包した音楽性になっていますね。 秋葉:1stで色々なサウンドを取り込み、その段階から“自分達らしいサウンド”に寄せたイメージはあります。今回の『3』もそうですが“音の引き算”という部分にとても神経質になって、色々と考えながら完成させたアルバムですね。『3』でもそれを意識していますが、あまり堅苦しくならず“楽しんでやろうぜ!”という思いでレコーディングに挑みました。
ジョニー:アルバムをリリースしてツアーを経て、その中で、アルバムとライブでは色々なものが異なるなと。ライブでは、アンサンブルや曲の再現性に限度があるので。そういった事を考えて、過剰なダビングはせずに、ありのままのバンド・サウンドを意識したので、骨太な感じになっていると思います。
鹿野:それぞれが、曲の全体図を意識して演奏できるようになったよね?
ジョニー:あと、ヴィンテージ楽器を使うようになったのも大きかったね。61年製レスポール・スタンダード、61年製ストラトキャスター、68年製プレシジョン・ベースといった良い楽器を使うことで、1本の楽器を使い音だけで“伝えたいこと”を説明できるようになったから。
木村:これまでの作品よりも、より自分達らしいバンド・サウンドになった1枚だなと。秋葉の歌詞と、僕らのサウンドのイメージも合ってきたし。バンドとしての“ターニングポイント”だったのかなって。
ジョニー:じゃあ、今は何期なの?
木村:第3期だと思う!
ジョニー:じゃあ、ディープ・パープルにデヴィッド・カヴァーデール(vo)が加入して「バーン」を完成させた時期か…。ヤバい、黄金期じゃん!
木村:そうそう、そんな感じ(笑)。
―アンサンブルのコンビネーションは?木村:ボーカルと楽器隊は不思議な関係ですね。秋葉は歌うのでほとんどギターを弾かない時もあるし、逆もある。だから、僕はバッキングからソロまで好きに弾けるブライアン・メイみたいなポジションじゃない。それぞれのギターが曲に呼応して曲を埋め合う、ストーンズのキースとロンみたいな関係です。
ジョニー:リズム隊は、打ち合わせを入念にしていくタイプではなくて、曲をやっていく中で完成させていきます。オケ録りは大体1発のみです。曲の勢いを失くしたくないので、バッキング・ギターまで一緒に録ります。
―そうなんですね!ジョニー:ええ、クリックを聴きながら合わせてもツマらないですよ。リズム的にはジャストに近づくんだろうけど、リズムがヨレ合って部分が上手くマッチすると、人間味のある本当にクールなサウンドになりますから。そういう“人間味溢れるサウンド”を追いかけています。
『3』収録「hallelujah」
ゆりかごから墓場まで―『3』についてお訊かせください。曲作りはいつ頃から開始したのですか?鹿野:ライブと平行してストックを溜めていった感じです。新曲をライブで試しながら色々とアレンジを試していきました。
秋葉:ストックはたくさんあって、メンバーとスタッフで話し合い選曲していきました。多くの人が関わると、必ずしも自分が思うようにはならないわけで、昔はそれがストレスでした。でも、今はそれぞれの意見交換を楽しめるようになった。曲の選考はそんな感じですが、個人的に“歌詞の世界観”が基準の中で大きいと思っています。
ジョニー:「無理をしないで」は10年に作ったものだから、多分これが一番古い曲だよね?
鹿野:「幻」「BEAT」「マリー」「マイガール」「いつかのサマータイム」「Hallelujah」は最近ですが、真ん中の曲は結構古いですね。アルバム全体のムードを考えるから、そういったトータル的な部分も考慮しましたね。
―なるほど!ジョニー:僕らは、何でもできる器用なタイプのミュージシャンじゃない。だから、やっぱりバンド・サウンドありきなんです。だから“流行りのEDMに挑戦!”とはならなかったですしね(笑)。そういうことがわかってきた中で、その密度が濃くなったのかなと。
―アルバムのキャッチコピーである“ゆりかごから墓場まで”の意味とは?秋葉:柳川が考えたもので“老若男女問わず、このアルバムを好きになってほしい”という願いが込められています。
木村:30歳になり、色々な環境にいる同世代の仲間達に「俺達はこうしているけど最近どうだい?」と確認するようなイメージですね。
鹿野:この年代って、普段の仕事も違うし、新しい家族が生まれる人もいる。だから、それぞれが交わることが少ないように思うんです。
ジョニー:そういった中で、懐かしい青春時代を振り返りながらも“さぁ、その先にいこうぜ!”という、前向きなメッセージがありますね。
―そういった“かつての青春時代”を象徴するナンバーが「マリー」だなと。この世界観に辿りついたきっかけは?秋葉:10〜20代の頃は、思うように生きることこそが“美しい”と考えていた。でも、時が経ち大人になる中で、あるがままの部分は“人のエゴ”だと言われるようになる。そういった人の意見もあって周りの人も変わっていくけど、自分は変わらずにいられればと思い書いた歌詞ですね。
鹿野:2ビートを主体にギターが絡み合うサウンドと、内向きでありながらも他人のことを考えている歌詞ですよね。この歌詞の世界観が他の曲にもリンクしていると思います。
木村:“青春のプレイパック”に近い感じかな? でも、それだけじゃ終わりたくなかったから、ブリッジ部分をアレンジして曲に変化を出しました
―「マイガール」のシンプルだけど、だからこそ伝わる歌詞にグッとくるのですが、この曲はどの様なイメージで?秋葉:メロディは良いに越したことはないので、いつも美しくありたいと心掛けています。彼女に甘い言葉をかけて安心させているような歌詞ですが、よく聴くと実は逆に彼女に依存している。少し歪んだ男目線な歌詞だと思いますね(笑)。“裏切りではない〜”の一節とか、ポップでキャッチーな曲だからこそ、そこら辺の“ギャップ”がおもしろいなと。
―「サギ師」はアンサンブルとしてもおもしろいですね。USロックのイナタさとUKの質感がミックスされているというか…。鹿野:グルーヴは最後まで迷ったんです。でも、もう少し激しくしても違うなとも思ったので、この感じに落ち着きました。
ジョニー: 70〜80年代のアメリカン・ロックな感じだけど、レッド・ホット・チリ・ペッパーズまではいかない(笑)。レッチリ前のグルーヴ感。
木村:ギターソロもワウ踏んでいるしね。
ジョニー:マイケル・シェンカーかジョン・フルシアンテかって感じだもんね! あと「hallelujah」のソロは気に入っています。あの曲は、ベーシストが聴くと”大丈夫!?”って心配になる位に弾いてない部分がある。でも、その替わりにドラムのバスドラがリズムを埋めているんです。プレイで言えば、「マリー」と「BEAT」は途中までダウンピッキングで、そこからオルタネイト・ピッキングに変わっています。「いつかのサマータイム」は、昔のソウルのクラシックみたいにハネた感じ。「無理をしないで」は、ギター用のマーシャルにアンペグのキャビに繋いで弾いたんです。そしたら、ああいった恐ろしい音になりました(笑)。
鹿野:8分の6拍子の「BIG HEADのBOYとACTIONするGIRL」は、逆に僕がドラムをあまり叩いていない。そういう地味な、足し算と引き算で“間”が上手く活かせるようになりましたね。
ジョニー:場合によっては、弾くよりも弾かないほうがベターなこともある。そんな美学があるんです。ベーシストの中には、本当に上手くてどのテンポでも32分音符を簡単に弾けちゃう人もいる。でも、自分はそうじゃないから、そこを敢えて我慢することで、他が活きるっていう。全員の音が無いと休符になっちゃうけど、そのバランスがおもしろい!
―親友の結婚式のために書き下ろした「Hallelujah」も、本作の世界観を象徴するナンバーですね。秋葉:幸せはというのは“幸せだと思えること”だというメッセージを込めました。『素晴しいね』の「きれいな少女」もそうですが、自分で曲を作ると達成感が得られる反面、空しい気持ちになるんです。だから、この歌詞でも自分自身を本気で茶化しているんです。イントロで鳴っている鳩時計は突然閃いたもの。理由は漠然としていますが“時間を告げる”というイメージかな?
木村:今回のギター・パートにはオマージュっぽい部分がありますね。「マリー」はザ・スペシャルズみたいだし、「いつかのサマータイム」はTHE YELLOW MONKEYの菊池英昭さんっぽい。「hallelujah」のソロはグラムロックな感じで、「みんななにか」はブラーな感じ。これまでに影響を受けた音楽的な引き出しから、曲に合わせてフレーズを出していく感じでした。
秋葉:プレイヤーとしてそれぞれに課題があると思うけど、リスナーというスタンスを失わずに、引き算と足し算を考えた演奏ができているからこそ、より“自分達らしい”音楽性やプレイを詰め込めたのかなと。
ジョニー:凄く個人的なことなんですが、毎回アルバムでタッピングを入れようと思っていて、それをやったのが「暗闇さ」なんです。曲のグルーヴはもちろんだけど、ああいった変化を自然に出せているのが拘りです。
木村:よく聴くと「あっ何かやっている!」と思うようなバッキング部分かな? 「BEAT」がそうなんですが、そういったスパイスを加えることで曲に抑揚感が生まれているなと。ソロは、もうチョーキングしかないタイプなので(笑)。
ジョニー:ところどころ、B.B.キングみたいなビブラートがブルージーだよね! 「サギ師」とかも、よく聴くとすごくおもしろい。LとRにパンを振ってジミヘンみたいな感じだもん。
―「BEAT」は、アルバムの最後飾るに相応しいスケール感の大きなナンバーですね。秋葉:ジャック・ケルアックの小説『路上』が映画化されたものを観て、それがイメージにありました。話の内容と小説を呼んだ高校の頃のこと、今の想いが交錯し完成したように思います。昔も今も“今夜こそ、もう一度何かやれるかもしれない!”と思っているし、そういった想いが込められていますね。アルバムを通すと、「マリー」「hallelujah」「幻」「BEAT」を経て、しっかりと1つの物語になっている気がします。
―使用機材を教えてください。秋葉:テレキャスをメインに使いました。アンプは、54年製フェンダー・ツイードのバンド・マスターで、117Vに昇圧して使用しました。スピーカーは、ジェンセンのアルニコ15インチ1発です。
鹿野:ラディックのブラックビューティです。あと、パールのマスターワークス、グレッチのキットをアンサンブルの兼ね合いで使い分けました。「幻」は、曲のイメージに合ったので、ニッカンという2千円で買ったベニア材のモデルを使いました。
ジョニー:メインは78年製のプレベです。重くて独特な感じでローミッドが出て気に入っています。あと、78製のリッケン、68製のジャズベを借りて使いました。アンプはアンペグのSVTクラシックとV40、マーシャルのJCM900、あとグヤトーンです。「暗闇さ」の歪みは、昔買ったギター用のビッグマフを使いました。
木村:フェンダー・カスタムショップ製のクラプトン・モデルがメインです。ミッドブーストが使えて幅広いトーンが出せて気にっています。ライブでは、ブーストはほぼ入れっぱなしですね。ピックアップはセンターで弾くことが多いです。アンプは、フェンダー・スーパーソニックがメインで、マーシャル、イグネイター、オレンジ、ヴォックスを使いました。エフェクターはブラックスターHTデュアルとアイバニーズのTS10です。
―さらに成長した皆さんの音楽性を体験できるのがライブですよね。秋葉:目の前のお客さんを楽しませていきたいですね。こんな時代だからこそ、ライブもそうですが、作曲&作詞、レコーディングまでのプロセスをしっかり拘っていきたいです。
ジョニー:このアルバムと共にツアーして、もっと多くの人に聴いてもらえるように頑張っていきたいです。
鹿野:バンドをやるスタンスは変わらないですが、その純度をより高めていきたい。ライブでは、もっとアレンジも変わっていくと思うので、楽しんでくれると嬉しいですね。
木村:サークル時代から“マジック”と呼んでいる要素があって、皆が全員一致で“キテるぜ”と感じるフィーリング。ライブでは、それをよく感じるし、それを出していきたいです!
Interview by TAKAHIRO HOSOEザ・ビートモーターズ
サン
スモーラーレコーディングス
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6月30日(月)東京@下北沢Reg『Turning point vol.4』
7月5日(土)東京@渋谷TSUTAYA O-CREST『The cold tommy 1st Full Album『conservative dolls』Release Tour 2014』
7月6日(日)愛知@栄RAD『The cold tommy 1st Full Album『conservative dolls』Release Tour 2014』
7月11日(金)京都@KYOTO MUSE
7月12日(土)兵庫@太陽と虎 『セックスマシーンnewシングル「文句はないな野郎ども!」レコ発ワンマン』
7月18日(金)東京@下北沢BASEMENT BAR『Beat Happening!SHIMOKITAZAWA R&R PANIC!MAX!』