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The 25th YAMAHA JAZZ FESTIVAL REPORT

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 浜松市が推進する「音楽のまちづくり」事業として1992年にスタートしたハママツ・ジャズ・ウィークが今年25周年を迎えた。同時に、その一イベントであるヤマハジャズフェスティバルも25回目を数え、記念すべき節目にふさわしい豪華な出演陣が揃った。

 今回は3部構成で、沖仁 con 渡辺香津美、寺井尚子クインテットとゲストのウィリアムス浩子、ニューヨークのビッグバンドであるヴァンガード・ジャズ・オーケストラが出演。ここではパート1に登場したギターデュオのコンサートを中心にレポートしよう。

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沖仁

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渡辺香津美

 フラメンコとジャズという異色の組み合わせだが、両者に共通するのはジャンルを超えた柔軟な姿勢と言えるだろう。両者は2011年から共演の機会を重ねて、昨年は2枚組のライブアルバムをリリースしている。まずは牧歌的ながらも展開の多い沖のオリジナル曲からスタート。続くスーパー・ギター・トリオの「地中海の舞踏〜広い河」では、情熱的なナンバーにふさわしい、速いパッセージによる圧巻のギタープレイを展開。その息の呑むような演奏に大きな喝采が送られた。一転して叙情を湛えたイギリス民謡の「スカボロー・フェア」では、渡辺による空気感のあるトーンでのプレイが冴える。後半はクラシックの名曲「ボレロ」で始まり、沖はエレガット、渡辺は曲中にアコースティックギターからPRSに持ち替え、両者とも立奏へとスタイルを変える。続く渡辺のオリジナル曲では、エレクトリック・ギターとも対等に渡り合うガットギターの音圧や迫力に改めて圧倒された。最後のチック・コリアの「スペイン」では、息の合ったユニゾン、渡辺による王道のジャズギター・ソロ、ボディタップを交えたダイナミズムのある沖のバッキングが会場を盛り上げ、会場の拍手と共にエンディングへとなだれ込んだ。狂熱と呼ぶにふさわしい濃密なギタープレイを堪能できた1時間だった。

 続くパート2は、初のセルフプロデュース・アルバムのレコーディング・メンバーを率いての寺井尚子クインテットのステージ。
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 寺井のヴァイオリンと昨年からクインテットに参加した佐山雅弘のピアノをはじめ、実力派の金子健(b)と松岡“matzz”高廣(per)、小学生の頃にハママツ・ジャズ・ウィークへの出演経験のある荒山諒(dr)、そしてジャズ・シーン注目のシンガーであるウィリアムス浩子をゲストに迎えて、華麗かつ情熱的なステージで魅了した。

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 最後にパート3に出演したのは、今年結成50周年を迎えたビッグバンドで、ニューヨークの名門ジャズクラブ「ヴィレッジ・ヴァンガード」で毎週月曜に出演しているヴァンガード・ジャズ・オーケストラ。サド・ジョーンズ/メル・ルイス・オーケストラより続く50年の歴史にふさわしい、総勢16名による貫禄と迫力ある演奏を繰り広げた。同オーケストラは前日に公開ビッグバンド・クリニックも行なっている。

 個性豊かなミュージシャンにより、多彩なジャズの魅力を堪能できた、25年目の節目にふさわしいフェスティバルだった。

(写真提供:ヤマハ株式会社)

DESERT TRIP レポート掲載!

The Empire Polo Club on October 7-9 in Indio, California

世界のベテラン・アーティストが一同に会したフェスティバル、デザート・トリップをレポート! 2016年10月7、8、9日、カリフォルニア州インディオ、エンパイア・ポロ・クラブで毎夜10万人の観客を動員した、ロック史上最もエポックメイキングなフェスティバル「デザート・トリップ」が開催。ボブ・ディランとザ・ローリング・ストーンズ。ニール・ヤングとポール・マッカートニー。そしてザ・フーとロジャー・ウォーターズ。伝説の今を生きるビッグアーティストが野外大ステージで感動の一言に尽きるパフォーマンスを次々に披露、夢のようだった。8つに分かれたセクション(12ブロック)で観客は歌い、叫び、涙しながら年齢を忘れさせるロックなグルーヴに酔いしれた。ロサンゼルスから250キロの砂漠で、10代から80代に近い幅広い層の人々が手を取り合いながら堪能したデザート・トリップ・レポートを16.12月号に掲載!

■10/7 1st BOB DYLAN
初日のトップを飾ったのがボブ・ディラン。近年、来日公演も行なっているが、残念ながらギターは持たずピアノやスタンドボーカルというスタイルはこの日も同様だった。映像は『追憶のハイウェイ61』(65年)収録の「廃墟の街」で、チャーリー・セクストンも健在。


■10/7 2nd THE ROLLING STONES
続いて登場したのがザ・ローリング・ストーンズ。言わずもがな現役感たっぷりだが、この日の特別メニューとしてザ・ビートルズの「カム・トゥゲザー」を演奏。しかしてバンドアレンジはストーンズのまま、というのがらしくてイイ!


■10/8 1st NEIL YOUNG
今やマイペースで勢力的に活動しているニール・ヤング。アコースティックギターやピアノの弾き語りも魅力だが、この日は『ザ・モンサント・イヤーズ』(15年)で共演したバンド、プロミス・オブ・ザ・リアルも交えて「ロッキン・イン・ザ・フリー・ワールド」を演奏。


■10/8 2nd PAUL McCARTNEY
近年のワールドツアーと同様の体勢でイベントに参加したポール・マッカートニー。中盤ではニール・ヤングが参加して「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」を共演。


で、ライブの定番でもある007の主題歌「リブ・アンド・レット・ダイ」。ポールのライブは特効が凄すぎ!


■10/9 1st THE WHO
3日目の最初はザ・フー。こちらも近年コンスタントに活動しており、永遠のブリティッシュロックの魅力を放っている。70年代の代表曲のひとつ、『フーズ・ネクスト』(71年)収録の「ババ・オライリー」でアゲアゲ!


■10/9 2nd ROGER WATERS
そして最終日のトリがロジャー・ウォーターズ。ピンク・フロイド各時代の楽曲を演奏したが、やっぱりなのが『アニマルズ』(77年)収録の「ピッグス(三種類のタイプ)」。今回“ピッグ”に比喩されてしまったのはドナルド・トランプ…



2016年12月号(11/2発売)にレポート掲載

Yamaha Acoustic Mind 2016 レポート

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 ヤマハのアコースティックライブイベント「Yamaha Acoustic Mind 2016」が9月19日に中野サンプラザにて開催された。今回はヤマハギターの誕生50周年を記念したスペシャルバージョンとして、若手からベテランまで豪華アーティストが顔を揃えた。

 ヤマハLシリーズ40周年記念イベントとして2014年からスタートしたこのヤマハアコースティックマインドは、ISEKI(ex.キマグレン)をホスト役に据えて、ステージをヤマハの楽器店に見立てたコンセプトで展開してきた。このイベントにはこれまで若手からベテランまで、数多くのアーティストが出演してきた。

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 会場ロビーには歴代のヤマハアコースティックギターやヤマハギターに関するパネルが展示されていた。

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 まずオープニングアクトとして登場したのはちさ。続いてISEKIが「カルアミルク」のカバーの他3曲の弾き語りを経て、いよいよ本編がスタート。ヤマハ中野サンプラザ店としてアレンジされたステージ、そこに勤務する店長のISEKI、副店長でありこのイベントの音楽監督を務めるGk3、スタッフのちさ、そしてこの楽器店を訪れたアーティストがライブを繰り広げるというシチュエーションで進行した。

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 まずは10月に1st.アルバムをリリースするShiggy Jr.がポップなナンバーを演奏。キュートなボーカルとダンサンブルな楽曲でスタートを飾った。

 続いて、今年初の日本武道館公演を実現したロックバンド、KEYTALKより、ボーカル/ギターの寺中友将が登場。オリジナル楽曲の弾き語りの他、松山千春やASKA、桜井和寿、平井堅のモノマネを披露。そのエンターテイメントぶりで会場を沸かせた。

 そしてこの2組とISEKI、Gk3によるスペシャル編成、その名も「ISEKI店長と帝国の逆襲」では「モンローウォーク」をカバーして前半は終了。

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 後半は、ヤマハからシグネチャーモデルを発売するなど、ヤマハギターと所縁の深い南こうせつが登場。使用するギターはもちろんのこと、ステージ後方には自身のシグネチャーギターが飾られるなど、改めてヤマハギターとの関わりの深さが感じられた。定評のMCはコンパクトにまとめて「神田川」や「うちのお父さん」などの代表曲を歌い上げた。

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 そして生放送のTV歌番組から駆けつけたmiwaのサプライズ出演。ドラマ主題歌となった「ヒカリへ」を熱唱。美しく力強い歌声に加えて、繊細で巧みなギタープレイに目を奪われた。
 続いては、アコースティックギターの達人、吉川忠英が浜松からやってきたヤマハ工場長として登場。ISEKIとのユニークな掛け合いの後、ビートルズの「イエスタデイ」をカバーした。

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 この後、ステージは暗転。袖からゆっくりと現れたのは、この日のトリを飾る加山雄三。ソロでの弾き語りによる「恋は紅いバラ」に始まり、吉川忠英/ISEKI/Gk3を加えたパートでは、吉川がアレンジを施した「夜空の星」や「旅人よ」などを数曲を演奏。ラテンやブルースなど、加山ソングの魅力をさらに磨き上げるような見事なアレンジが施されていた。
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 その後はShiggy Jr.と寺中友将が加わり「君といつまでも」「お嫁においで」をバンドアンサンブルで演奏。半年後に80歳を迎える加山雄三と、孫ほども歳の離れた若手アーティストの共演に思わず胸が熱くなると同時に、世代を超えて楽しめる加山雄三の楽曲の普遍的な魅力を再確認できた。最後は南こうせつとmiwaも加わり、全出演者による「カントリーロード」で幕を閉じた。
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 ライブの合間の出演者のMCでヤマハギターへの熱い思いが語られていたことをはじめ、ヤマハギター50年の歩みを綴ったヒストリー映像や、ナオト・インティライミ、さだまさし、ゆずといった、ヤマハギターを愛用するアーティストからの祝福のビデオメッセージも流れた。世代を超えて音楽を楽しむこと、そして日本の音楽シーンにおけるヤマハギターの功績と役割が感じられたイベントだった。 
(写真提供:株式会社ヤマハミュージックジャパン)    

SUMMER SONICをレポート!!

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記録的猛暑を記録した今年の夏、8月10日(土)&11日に行われた“サマーソニック”と、サマソニの2日前に行われたエアロスミスとB’zの共演による“エアロソニック”の模様をお届け。両イベントとも満員御礼の大盛況と相成った真夏の祭典を是非とも追体験して頂きたい!

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また、WHITE ASHとグッドモーニングアメリカへのインタビューも掲載。アーティスト側から見た“サマソニの魅力”“フェスへの臨み方”など、こちらも興味深い内容の必読テキストになっている。

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MUSE

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METALLICA

(C)SUMMER SONIC 2013 All Rights Reserved.

今年もやりますヴァッケン・レポート!

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ドイツのシュレースヴィヒ=ホルシュタイン州ヴァッケンで開催される世界最大級のHR/HMフェスティバル“ヴァッケン・オープン・エアー”。毎年70,000人以上のメタル・ファンが来場し、シーンを代表する大御所バンドから注目の若手実力派まで多数のバンドが出演を果たす。今年は、アリス・クーパー、モーターヘッド、ディープ・パープル、ウリ・ジョン・ロート、ソナタ・アークティカ、トリヴィアムらが出演を果たし、非常にバラエティ豊かなラインナップで大きな話題となった。そんなヴァッケン白熱の3日間の模様をライター奥村裕司氏による入魂のレポートで大紹介!
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貫禄たっぷりの圧巻のステージで観客を大いに湧かせたディープ・パープル
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レミーの体調不良により6曲で中止となったが大きな盛り上がりをみせたモーターヘッドのステージ

Photo by YUZI OKUMURA

Ozzfest Japan2013の模様をレポート!

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遂に日本初上陸を果した伝説のロックフェス“Ozzfest”。Player8月号では2日間で繰り広げられた熱きステージをレポート。

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BLACK SABBATH

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SLIPKNOT

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SLASH

ブラック・サバス、スリップノットの各日ヘッドライナーはもちろん、海外勢/国内勢、物議を醸し出したももいろクローバーZやオープニング・アクトもしっかり掲載。ジャンルの垣根を取っ払ったOzzfestの全貌を窺い知ることができるはずだ!

pics (C)Ozzfest Japan

すべてロック愛好家へ告ぐ、ドレスコーズを目撃せよ!

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暗転と同時に鳴り響いたのはThe Velvet Undergroundの「All  Tomorrow's Parties」。まるでこれから始まる狂宴を示唆するかのようなオープニングSEだ。中盤のサイケデリックなギターソロに入ったタイミングで丸山康太(g)、山中治雄(b)、菅大智(ds)の3人がステージイン。退廃的なヴェルヴェッツの世界観を劈くような爆音で、どこまでも凶暴かつ美しいロックンロールは始まった。

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昨年12月にリリースされた1stアルバム『the  dresscodes』を引っ提げての全国ツアー。昨年はゲリラ的なライブやイベント出演、「Trash」のリリース前に行われたショート・ツアー『Before The Beginning』に関してもキャパ100〜200人のライブ・ハウス3ヶ所であった為、今回のツアーで初めてドレスコーズを目撃する方も多いだろう。この日の渋谷O-WEST公演は全11公演の2日目。それゆえセットリストの記載は避けるものの、言わずもがな『the dresscodes』収録曲を軸としたメニューである。しかしながら、各曲のモノラル/ステレオ・ミックスのバランスも考慮したアルバムの収録順とは大きく異なり、ライブならではの流れが組まれていた(特にこの日の1曲目は意外だった)。またオリジナルには無いインプロビゼーションも要所に盛り込まれており、丸山のアヴァンギャルドなプレイ・スタイル(ギターをローディにあずけ、ひたすらアンプのつまみをいじってフィードバック・ノイズをコントロールする場面も)と菅の連射可能な大砲とでも呼ぶべきドラミングが楽曲の混沌さを増幅させていく。一方でジャズベースを高い位置に構える山中は極力エフェクターは使用せず、あくまでもアンサンブル全体を意識したプレイ。ピッキングの強弱(「パラードの犬」では一部を除いて親指弾き)やピッキング位置もブリッジ側とネック側を巧みに使い分け起伏を生み出す。菅と共に担うコーラス・ワークも含め、バンドの屋台骨といった冷静さはステージ上でも顕著だ。その盤石さと危険さを併せ持ったアンサンブルの上でステップを踏み、ターンを決め、唯一無二の声で歌い上げる志磨の姿は男の私からしても溜め息が出るほどに艶気がある。つくづくTHE WHOのようなバンドだ。典型的なフォーメーションでありながらも、存在感で言えば全員がフロントマンである。

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生まれたての新曲が披露されるのも本ツアーのポイント。序盤に置かれた新曲では志磨もギターをプレイ(「ストレンジ・ピクチャー」や「1954」でもバッキングを担っていた)。昨年のレコーディング期間中に購入したJerry JonesのShorthorn DC2をアンプ直で鳴らしながら、哀切的なメロディに自虐の言葉が乗るミドル・チューン。どこか淡々としたリズムとギターソロが余計に曲中の“僕”を孤独にする。対照的に終盤で披露された新曲は陽性のメロディとキャッチーなリフが際立った即効性の高いナンバーであり、早くも『the dresscodes』の先へ進みつつある4人を感じさせる。

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この“インプロの追加”と“新曲の披露”により、CDで再生すればほぼ1時間ジャストで終わるはずのセットリストは1時間半近くにも及んだ。MCに関しても志磨が必要最低限を語るに留まり、至極ストイックなステージ運びであったと言える(こちらに拍手の隙さえも与えないシームレス流れもあった)。その中でもとりわけ印象的だったのは第一声の「はじめまして、ドレスコーズっていいます!」という言葉だった。音源を聴き込み、インタビューも行った人間が言うことではないが、私もこの日初めてドレスコーズというバンドの本質を見た気がする。しかし、これもまだ片鱗に過ぎないのだろう。メンバー自身も昨年、“ツアーをやっていく内に、僕たちもドレスコーズが何なのか分かってくる気がする”と語っていたように、4人も今回のツアーでドレスコーズに感動し、興奮し、驚愕するはずだ。まさしく新人の瑞々しさ、ハングリー精神と熟達した技巧の二律背反を持ち合わせた化け物だ。「Trash」の後半で「まだ足りない、まだ足りない!」と絶叫している志磨の姿に恐ろしさ以上の頼もしさを感じた次第である。

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詳細を書けないことが歯がゆくもあるが、現在絶賛展開中の「the dresscodes TOUR 1954」、とにかく万障繰り合わせてでも目撃して頂きたい。数年後、彼らの成長期を生で体感出来たことを誇りにさえ思える日が必ず来るのだから。最後に早足でメンバーの機材も振り返ることにしよう。
丸山のメインギターは黒のレスポール・カスタム。サブも同じくレスポール・カスタムであったが、使用は序盤とアンコールでブラック・ビューティの弦が切れた際のみに留まっていた。ステージ袖には志磨から一昨年の大晦日にプレゼントされたリッケンバッカー330もスタンバイしていた。
山中はジャズベース1本のみであったが、昨年末からメイプル指板のモデルをメインにしているようだ(以前はブラック・ボディ/べっ甲ピックガード、ローズウッド指板のモデル。因みに「Trash」のMVで使用しているジャズベースは菅の私物である)。
菅のドラム・セットはヴィンテージのラディックを組み合わせた1バス、1タム、1フロアのシンプルなセット。キース・ムーンを敬愛している菅ではあるが、もちろんハイハットもセットしており、極めてスタンダードな構成であの驚異的なプレイを実現させている。

写真:松本時代
文責:戸川健太

【the dresscodes TOUR 1954】
1月23日(水) 京都磔磔(終了)
1月24日(木) 渋谷O-WEST(終了)
1月27日(日) 札幌cube garden
2月2日(土) 広島ナミキジャンクション
2月3日(日) 福岡DRUM Be-1
2月9日(土) 仙台darwin
2月10日(日) 新潟CLUB RIVERST
2月16日(土) 梅田QUATTRO
2月17日(日) 高松DIME
2月22日(金) 名古屋QUATTRO
3月8日(金) 日本青年館

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the dresscodes(初回限定盤)
COZP-735〜6 12月5日 3,360円

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the dresscodes(通常盤)
COCP-37693 12月5日 2,940円

http://the.dresscod.es/

長澤知之 多幸感に溢れたツアーファイナル!

 6月6日にリリースしたミニアルバム『SEVEN』(リリース時のインタビューはこちら→http://ymmplayer.seesaa.net/article/277812970.html)を引っ提げ、全国ツアーを展開してきたSSW、長澤知之。6〜7月に行われた弾き語りスタイルの“Nagasa・Oneman7 Acoustic Ver.”に続き、バンド編成による“Nagasa・Oneman7 Band Ver.”のツアーファイナルが10月8日(月)、新宿BLAZEにて行われた。

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 本ツアーでのバンド・メンバーは、a flood of circleや音速ラインのサポートも務める曽根巧(g)、もはや説明不要の女性ベーシストTOKIE、長澤とは長年の付き合いとなる秋山隆彦(ds)、そして元オトナモードの山本健太(key)を迎えた編成。シーン屈指の敏腕プレイヤー、更に初めて鍵盤奏者を擁するツアーとなったわけだが、長澤知之のギタリスト/ボーカリストとしての才覚が埋没するどころか、より浮き彫りになる公演だった。

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 「夢先案内人」で幕を開けたこの日のライブ。長澤が序盤でメインにしていたのはブルーフィニッシュのギブソン・レスポールだった。丁度2年前、同所にて行われた“Nagasa・Oneman6 Band Ver.”のリハーサルにて、ネックが折れてしまうというアクシデントに見舞われた1本だが、その後は無事復活。本人には重さがややネックのようだが「消防車」「THE ROLE」「JUNKLIFE」のようなアッパーチューンでは、パワフルなサウンドのバッキングを響かせる。山本の参加でアンサンブルとコーラス・ワークが重奏的になろうと、やはり長澤の歌声とギターは唯一無二のものとして前面に飛び込んでくる。

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 中盤以降では2010年10月の“Nagasa・Oneman5”で初お披露目され、次第にレスポールと同等の使用頻度になってきたセブンティーセブンギターズのアルバトロス・スタンダード 1Hも登場。“優しい音がして、歌に寄り添ってくれる感じが好き”と本人が語っていたように、やや穏やかなヴォーカリゼーションで聴かせる楽曲で使用されていた。あくまでも歌を一番に聴かせたいという長澤らしい使い分けである。

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 バンドによってはギブソン レスポールをメインにする曽根巧だが、この日はフェンダー ストラトキャスターとテレキャスターを使用。長澤のハムバッカー・サウンドとの見事な棲み分けが成されており、両者のギターバトルの様相も呈した「Blue Blue」は圧巻の極みだった。

 アンコールでは「マンドラゴラの花」の幽玄な世界感をアコギ1本で再現する異彩っぷりも見せてくれたが、インタビューで“表現方法としてギターに固執する気は無い”と語っていた長澤。その言葉通り、山本健太と2人で披露した「カスミソウ」では鍵盤伴奏をメインに歌い上げる。いつかはピアノで弾き語る長澤知之というのも観てみたいものだ。

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 ラストは「バベル」を2回演奏し(1回目の歌詞間違いに納得がいかなかった為)、“純粋に音楽を楽しむ”という『SEVEN』のテーマをステージ上でも再現。ツアーファイナルに相応しい多幸感に包まれてライブは終了した。10月後半から11月、長澤は各地の様々なイベントに出演が決定している。ソングライター、歌うたい、ギタリストとして“有数”ではなく“唯一”の存在であることは保証する。是非とも生でその輝きを目にして欲しい。

写真:山本倫子
文:戸川健太

Official Web Site:http://www.office-augusta.com/nagasawa/
Facebook:http://www.facebook.com/nagasawa.official←いいね!をプッシュ


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そして、なんとオフィスオーガスタ様からPlayer On-Line読者の方々へプレゼントをご提供頂きました。“Nagasa・Oneman7 Band Ver.”で販売されていたツアーTシャツです(イエローのVネック、グレーのUネックを各1枚ずつ。サイズはMです)! 郵便番号、住所、電話番号、氏名、希望のカラー、長澤知之への思い、好きな曲などなど…を明記の上、
present@player.co.jpまでお送りください!

2012年10月17日


須藤寿GATALI ACOUSTIC SET 語るように歌い、歌うように語る

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 10月2日(火)発売のPlayer11月号にインタビューが掲載される“須藤寿 GATALI ACOUSTIC SET”(須藤、長岡亮介、gomesの3名が揃い踏みです!)。先週は須藤寿の単独インタビュー(http://ymmplayer.seesaa.net/article/293535876.html)を掲載しましたが、今回は9月27日(火)に代官山UNITで行われたリリース・パーティー「須藤寿 GATALI ACOUSTIC SET "The Great Escape" PARTY」の模様をレポート!

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 チョコレートなどの菓子類が置かれた木製の小さなテーブル、ゆったりと寛げる大きなソファ、ステージ後方の左右に配された観葉植物…。今年2月の初ワンマン(http://ymmplayer.seesaa.net/article/253246084.html)同様、ステージ上は宛ら“須藤寿の部屋”だった。ただひとつ違うこと、それは密接で親密な距離感と空間でありながらも、そこから時間や国境も軽く超えた“壮大なる逃避行”へと聴き手を誘ってくれたことだろう。去る9月26日(水)に1stアルバム『The Great Escape』(日本コロムビア)をリリースした須藤寿 GATALI ACOUSTIC SET。幾度か彼らのライブを観覧しているが、本プロジェクトの醍醐味、“須藤寿のやりたかったこと”が実を結び、美しく花開いたリリース・パーティーとなった。

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 定刻とほぼ同時に鳴り響いたSEはThe Beach Boysの「California Girls」(10月2日(火)発売の本誌インタビューにて須藤は、メンバー全員がヴォーカルを取れることからGATALIを“現代のビーチ・ボーイズ”と語っている)。緩やかな西海岸のムードに乗って、発足当初からのメンバーである長岡亮介(g)とgomes(key)、バンド編成時のライブでサポートを務めるケイタイモ(key)と伊藤大地(ds)がステージイン。ケイタイモは椅子に、長岡はソファに深く腰を下ろし、バイオリズムを重ね合わせるようにマーク・ワーツ・オーケストラのカバー「Theme from a Teenage Opera」で2時間強のインナートリップは幕を開けた。続く「あそびいこう」で早くも際立つのはコーラスワークの妙だ。ヴォーカリストとしての顔を持つ長岡とgomesの両名は当然としても、更にケイタイモが加わることでスキャット・コーラスは重奏的に。アルバム同様シームレスに繋がれた「楽しい時間旅行」では伊藤の澄んだ口笛がメインメロディをなぞり、アウトロでは「あそびいこう」の歌詞を乗せるなど(キーが同じなので本当に自然でした)、音源の再現性に捕われないフリーキーなアレンジで堪能させる。

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 だからこそ“今日はアルバムの曲順にやります(笑)!”という身も蓋もない序盤のMCにも、次への期待値が削がれることはなかった。スペシャル・ゲストとしてコトリンゴを招いた「ウィークエンド-Theme From The Great Escape-」も然り。オリジナルでは全編プログラミングによる楽曲の為、長岡とケイタイモもノードをプレイしての“クラフトワーク”状態と相成る。一方で「騒々しいバナナ」や「フェアウェル」ではgomesがテレキャスター・カスタムをプレイしたりと(因みに長岡のメイン・ギターは自身でリフィニッシュした鮮やかなモズライト。曲によってはダンエレクトロのPRO-1も使用)、フレキシブルな編成で展開していく。とりわけ「僕はゲリラ」でのメンバー紹介も兼ねたソロ回しでは、ややレイドバック気味だたフロアが一気に沸き上がるハイライトも。

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 またイベント出演時でも大半を占めていたGATALI部分(MC)も、ワンマンとあって絶好調。なんの衒いも無く演奏してしまえば約40分で終わってしまうはずの公演を2時間以上のボリュームへと足らしめたのは他愛も無さ過ぎる雑談である。しかし、それが公演の間延びや失速には繋がらず、演奏中と何ら変わらぬ尊い時間として流れていくのは須藤寿のパーソナリティこそが成せる業。語りかけるように歌い、歌い上げるように語る…それがGATALIなのだ。筋書きも着地点も定まらぬ会話は、まさしく『The Great Escape』の平熱感と相通ずる(とは言え、ここでは書けないような内容も含めて殆どが爆笑必至のエピソードではあったが)。

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 本編のクライマックスはギターと歌のみのオリジナルから大きな変貌を遂げた「太陽の季節」、元DOPING PANDAの古川裕からの提供曲「フェアウェル」、髭のベーシスト・宮川の結婚に際して制作されたという「ハッピー・ウェディング」で祝祭感に包まれてフィナーレ。アンコールでは須藤が曲のフリを間違えるハプニング(恐らく竹内まりや「元気を出して」を演ろうとしていた)がありつつ「あの時君は若かった」(ザ・スパイダーズ)、「学園天国」(フィンガー5)でもキーが定まらずに2回仕切り直すなど、グダグダな、だからこそGATALIらしく、GATALIにしか出来ない緩やかなムードが満開に。お決まりのコール&レスポンスも決め、パーティーの名に相応しい大団円と相成った。

10〜11月からは東名阪のツアーが展開される。MC、また終演後の須藤の言葉によれば、このリリース・パーティーとは大幅に異なるメニューを用意しているらしい。既にソールドアウトの公演も出ている為、早目にチケットを確保して頂きたい。ライブとは、音楽とは、かくも自由で良いのかと驚かされることは保証します。

TEXT:KENTA TOGAWA


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須藤寿 GATALI ACOUSTIC SET
The Great Escape
日本コロムビア CD
COCP-37553 9月26日 2,625円


須藤寿 GATALI ACOUSTIC SET "The Great Escape" TOUR

10/18(木)東京 青山CAY(トリオ編成・自由席)

10/19(金)東京 青山CAY(バンド編成・立見)

OPEN 18:00/START 19:00

チケット料金:¥4,300(税込・ドリンク別・整理番号付)
[問]CAY:03-3498-1171



10/26(金)京都 磔磔(トリオ編成・自由席)

10/27(土)心斎橋 Music Club JANUS(バンド編成・立見)

OPEN 18:00/START 19:00

チケット料金:¥4,300(税込・ドリンク別・整理番号付)
[問]GREENS:06-6882-1224



11/01(木)名古屋 TOKUZO(トリオ編成・自由席)

11/02(金)名古屋 TOKUZO(バンド編成・立見)

OPEN 18:00/START 19:00

チケット料金:¥4,300(税込・ドリンク別・整理番号付)
[問]JAILHOUSE:052-936-6041



2012年10月1日

石川鷹彦 ヤマハホールライブレポート

 7月16日(祝)、銀座のヤマハホールにて、ベテラン・ギタリストの石川鷹彦が出演する「石川鷹彦Special Live Vol.2」が行われた。

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 この日は石川氏の69歳の誕生日であり記念すべきバースデー・ライブということで、猛暑の中ながらも多くの観客が会場に訪れた。ヤマハのシグネチャー・モデル「LL-TAKA Limited」を使用したソロ・ギター演奏の他、ゲストとの共演による二部構成のライブとなっていた。今回はサポートに、マルチストリングスプレイヤーの西海孝が参加。ギター、マンドリン、バンジョーを巧みに使い分けると共に、コーラスでも存在感を発揮して楽曲に彩りを加えていた。

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そして第二部からは、スペシャル・ゲストの森山直太朗が登場。森山の楽曲によるボーカル・ステージを展開した。今回の出演者3人は、このライブのつい数日前まで森山のツアー・メンバーとしてステージを共にしてきたそうで、非常に息の合った演奏を披露してくれた。ツアーが終わったこともあってか、3人揃った第2部のステージはリラックスした雰囲気で、素晴らしい演奏はもちろんのこと、絶妙な掛け合いのMCでも大いに会場を沸かせた。公私に亘って長い交流のある石川と森山は、お互いにからかいを交えたやりとりの中に、仲の良い親戚同士のような微笑ましい雰囲気が漂っていた。

アンコールを含めて約二時間のこの日のステージは、夏の夕暮れ時にふさわしいリラックスしたアコースティック・ミュージックを届けてくれた。

2012年8月29日

期待の新バンドBORZOIQが放った快音

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 mellowhead、PLAGUES、GHEEEを筆頭に、近年では佐野元春や浅井健一との共演でも大活躍の深沼元昭。ギタリスト/ソングライターとしてはもとより、アレンジャー/プロデューサー/レコーディングエンジニアなどとにかくマルチな活躍で多忙なだけに、LAZYgunsBRISKYの歌姫Lucyとともに新たなバンドBORZOIQ(ボルゾイック)を立ち上げたと聞き驚愕した。LAVAFLOW RECORDSよりリリースされた初のアルバム『BORZOIQ』を引っさげて、東名阪ツアーを展開してきた彼らの千秋楽が4月15日(日)渋谷MilkyWayにて行なわれた。ベースにmellowhead、PLAGUESでも近年は活動を共にするTRICERATOPSの林 幸治、(b)、深沼元昭がプロデュースを手掛けたJake stone garageの岩中英明(ds)という敏腕リズム隊とともに、深沼元昭が愛器ギブソン・レスポール・スペシャルでキレ味たっぷりのギターカッティングを主体としたリフワークを繰り広げた様も観どころだったが、それとともにLucyの歌声が胸に沁みたという人は多いだろう…。

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 mellowheadにおける同名曲に新たな日本語詞が施されたセルフカヴァー・ナンバー「Never enough」で幕上げたこの日、Lucyは小柄な身体ながらもモニタースピーカーに立ってその存在感をフロア最後方まで魅せつけた。日本人離れしたあのハスキー・ヴォーカル、そして歌声とともにポジティヴなメッセージを投げかける独自のキャラクターは健在である。アルバム『BORZOIQ』収録のグルーヴィなキラーチューンはもとより、さらに「乾いたくちびる」「Climax」といった新曲が披露される一幕も。各々の活動を持つ4人ゆえにスケジューリングなど相当ハードだったはずだが、そのステージングからはノリにノッているモードが伝わってきた。特に「Name this wonder」「Faraway」などが印象深かったのだが、オーセンティックな60〜70年代ロック、ソウルミュージックを現在のスキルで継承するとともに、新たなかたちに構築しようとする深沼元昭ならではのアプローチはやはり刺激的だ。また随所でLucyと深沼元昭のザラつきのあるソウルフルなバッキング・ヴォーカルとが絡むのだが、これもまた見事にハマっていて観どころであり、新たな可能性を示唆していたとも思う。東名阪ツアーが終わり一段落ではあるが、4人4様のサウンド・キャラクターによる化学変化はまだまだ進化過程。BORZOIQはまだまだ予想のつかない変化を遂げていくのではないか。


BORZOIQ「Freebird hill」

 アルバム『BORZOIQ』ではライブとはまたひと味違った構築性も魅力である。アグレッシブなギターロックナンバーを主軸にしつつも、実にバラエティに富んだ内容に仕上がっており、とりわけmellowheadに通じるAORテイストが具現化されているのも聴きどころと言っていい。特にライブでも披露された「Freebird hill」「何も言うことないよ」などで、Lucyの歌声にゴスペルティックなものを感じるのは僕だけだろうか。なおLucyを擁するLAZYgunsBRISKYだが、4月27日(金)名古屋ROCK N ROLL、30日(月)福島C-moon、5月12日(土)下北沢GARDEN公演をもって解散するという。Lucyにとって2012年の春は新たな始まりとひとつの終幕が訪れた季節と言えそうだ。BORZOIQは勿論、Lucyのさらなる歩みにも期待が高まる。

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BORZOIQ『BORZOIQ』
LAVAFLOW RECORDS DQC-856 2,500円


2012年4月19日

大盛況だった Neat's ファーストライブ!

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 ex RYTHEMの新津由衣がソロプロジェクト Neat's をスタート! 渾身のファーストアルバム『Wonders』をリリースした。このアルバム、とにかく音が綺麗! とりわけギターのシングルコイルサウンドの繊細なサウンドと、弦のこすれるニュアンスまでも見事に拾いあげたかのような美しい音色には特に驚かされた。RYTHEM時代からソングライティングに定評がある新津由衣だが、Neat'sにおいては様々な音楽エッセンスを柔軟に取り入れたアレンジ面、またシンセやギターサウンドの音作りがより自由なアプローチで行なわれている。また歌詞においてもドキリとするような肉迫したフレーズもあり、彼女ならではのユニークな語彙も魅力。キャッチーなメロディを擁しながらもアップトゥデートなロックアレンジが施された数々はNeat'sのSoundcloudで試聴できる。


BBB / Neat's ビデオクリップ〜short version〜

 『Wonders』には数々のPVも収録されたDVDも同梱されているのだが、いろんな楽器をプレイしている新津由衣の姿が観られるのも面白いところ。RYTHEM時代は鍵盤楽器のイメージが強かった新津由衣だが近年はギターもプレイしている。新津由衣自身が様々な楽器に興味を抱いているのとともに、周囲のスタッフも相当な楽器ファンではないかと想像できるのだ。この傑作『Wonders』を引っさげてのレコ発イベントが1月28日(土)下北沢GARDENにて開催されたのだが、その中ではバンドスタイルでのライブも披露。新津由衣はピアノ、オルガンなどの音色でCLAVIA Nord Electro2、ギターでEPIPHONE Casino EA-255(サブではアクアフィニッシュのDAN ELECTRO Model56もセッティングされていた)をプレイ。率いるバンドメンバーも豪華で、愛器SAGO Classic Style-JM Customを手に、新津由衣言うところの“森”のようなシューゲイザートーンを放っていた戸高賢史(ART-SCHOOL、Ropes)、相変わらずボトムの効いたベースプレイとコーラスを聴かせる林 束紗(SCARLET、THE GIRL、HINTO)、ウッディな暖かみのあるドラムサウンドを紡いでいたtachibana(te')がバックを支える。
 
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 まずはノードエレクトロ2のピアノ音色で「wonders」「ナイト・イン・サイダー」をプレイするが、新津由衣の表情にはちょっぴり緊張感を伴っている(後のMCで明かされるのだが、前日リハに向かうバス中で泣いていたというくらいだから、相当なプレッシャーがあったらしい)。しかし伸びやかな歌声は健在。事前にアルバムを聴いていた人の中にはバックトラックに同期を走らせるかと予想した方もいるかもしれないが、アルバムの世界観を踏襲しつつもややソリッドなバンドサウンドで魅せるアプローチである。全体的に戸高賢史のJMによるリフが肝となることが多いステージで、「スロウモーション・ファンタジーズ」(この曲超名曲!)で新津由衣はカジノでストロークプレイを奏でる。次の「首飾り」へのMC間を筆頭に、ギターのチューニングも自ら行なっていたのも印象的。「首飾り」エンディングの戸高賢史のギターソロも大きな観どころとなっていた。

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 「苦いコーヒーに溶けないでシュガーキューブ」ではノードでオルガンを奏でて、アルバムヴァージョンよりもレゲエビートが前面に出たバンドアレンジ。続いてはNeat'sバンドでアレンジしたという新曲も披露してみせる。逆回転のようなギターエフェクトの中、ローズピアノの音色が奏でられるちょっと浮遊感のあるバラードで、サビのファルセットのラインが胸に残る1曲だった。こういうシューゲイザートーンは戸高賢史の得意とする部分だろうが、指弾きによるワルツリフが放たれる「Command Z」においても、サビの展開劇ではやはり浮遊感あるスペーシーな空気が会場を包み込む。かと思えば、「ミス・クラウディの場合」ではドドンパリズムがオーディエンスの手拍子を呼び軽やかなムードへと一変。新津由衣は再びカジノで低音弦を刻み、サビでは林 束紗のコーラスも活躍していた。アルバム冒頭の印象的なギターリフが放たれる「BBB」も手拍子が起きて大盛り上がりである。彼女のカジノはドライブトーンでストロークを奏でていたと思う。シャッフル基調の「ロンリーズ」も今後のライブで重要な役割を果たしそうで、新津由衣はクラビアでオルガンサウンドを奏でていたが、エンディングではアグレッシヴな鍵盤さばきでも魅了。この辺り、これからライブの目玉になっていくのかも。本編最後は“今の自分にとって大事で支えとなる曲”という紹介で演奏された「0」。1カポでディレイトーンを紡ぎだす戸高賢史のプレイも目立っていた。そして何より新津由衣の柔らかで澄んだ歌声をじっくりと堪能。

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 やたら“シューゲイザー”と書いてしまったが、Neat'sのサウンドの節々には80年代後半〜90年代の英国ロックのエッセンスやオルタナフィーリングが感じられるのが実にツボで、それでいて70年代SSWの音の佇まいをも内包しているバランス感が本当に面白い。新津由衣がそれを何処まで意識的にやっているかはわからないけれど、ちょっぴり懐かしさを感じさせる未来感というか、その独特なサウンドスケイプは『Wonders』をヘッドフォンで聴くといつでも体験できる。本当にびっくりするくらい音が良い。なおこの夜のアンコールでは「曲がないのでもう一度同じ曲やろうと思います」と発言。新津由衣の「“森”お願いします」という呼び込みでまたも戸高賢史がシューゲイザートーンを巻き起こした「wonders」、♪シュワシュワ〜のサビがとにかくキャッチーな「ナイト・イン・サイダー」を再度プレイしてライブは終了。

 たくさんのオーディエンスが詰めかけて盛況に終わったレコ発イベントだったが、3月からは初の全国ツアーが開催されることも発表された。まだまだ始まったばかりのNeat'sだけれど、2010年代の新たなポップミュージックの奇蹟を見せてくれそうな気配がたっぷりなので、ポップファンはまずはチェック! 自信持ってプッシュさせていただきます。

Neat's 1st tour 〜virgin show〜

2012年3月10日(土)17:30/18:00 大阪 心斎橋Pangea
清水音泉 066357-3666

2012年3月11日(日)17:00/17:30 名古屋 池下 CLUB UPSET
JAIL HOUSE 052-936-6041

2012年4月8日(日)17:00/18:00 下北沢 GARDEN
HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999


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Neat’s『Wonders』
dada pop dada-1 3,000円

http://www.neatsyui.com/

※お詫びと訂正…2月2日発売Player3月号DISC REVIEW P.68のNeat’sの記事において、“RYTHEM”(正)の表記が“RHYTHM”(誤)となっておりました。この場をもって訂正させていただきます。

Text by KAZUTAKA KITAMURA
Live Photo by KAZUMICHI KOKEI


2012年2月7日

松山千春 2011年秋コンサートツアー『愛の歌』レポート

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 『東京厚生年金会館ファイナル ファイナリスト』としてDVD化された単発公演や関東近辺のコンサートなどを除けば、松山千春のコンサートツアーにおいての東京公演は東京国際フォーラム2デイズが近年の恒例になっている。面白いのはそのコンサート内容で、根幹となるセットリストはありつつもどうやらたくさんの予備曲などがあり、ギタリスト丸山ももたろうにキーを指示して突然予定外の曲を歌い出したりする姿も珍しくなく、僕も近年何度とコンサートに通っているのだが毎回飽きない。抱腹絶倒のMC(説教?)も魅力。伸びやかかつ艶やかな抜群の歌声で3時間に迫るコンサートを見せてくれる。

 昨年クリスマスまで展開されていた2011年秋のコンサートツアー『愛の歌』。僕は11月29日の東京国際フォーラムA公演を拝見したが、近年のコンサートと異なっていた点は前半が松山千春のギター弾き語りで行なわれたこと。中盤から千春バンドを擁しての演奏となり、流れとしては東京厚生年金会館ファイナル公演に近い。開演時、緞帳が上がるとともにステージには椅子に腰掛けてゴダン・カスタムメイドのデュエット・ナイロンを爪弾く松山千春の姿。デビューアルバムのタイトル曲でもある名曲「君のために作った歌」だ。当初出力音のトラブルなどもあったが、トレードマークのツーフィンガー基調のアルペジオは健在。ナイロン弦ゆえのソフトで柔らかなサウンドと暖かみのある歌声がホールに響き渡る。「今日は結構古い曲行くけれど大丈夫か?」と悪戯っぽい笑顔を浮かべて語った後には、アルペジオの序盤を経て軽やかなストロークで「時のいたずら」を歌い上げる。オーディエンスが手拍子で応えるのを、「ギターの調子は悪いが体調は万全なんだ」と言ってさらに喝采を浴びる千春。大きいホールだろうが、客席と対話するようなステージ運びも彼ならではのステージングだ。

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 この第一部では千春のギター史を彩るギターが5本ほどバックにズラリと並べていた。「(スティール弦だと)指痛くてさ」などと語り茶目っ気を発揮していたが、「貴方への愛」からはヤマハ・カスタムメイドによる松山千春モデル“天・地”に持ち替える。現在Terry's Terryで高品質のアコギを輩出しているテリー中本氏がヤマハ時代に手掛けたものであり、ブラックの漆塗りフィニッシュの豪華な仕様だ。千春自身のMCにもあったが指板にはなんと象牙を使用、北海道の地形を型どったインレイが施されるなど、材料面の側面でもまず同じ仕様のギターを作ることはこの先難しいだろうという1本。アルペジオで「貴方への愛」を歌った後、ルート音のクリシェが印象的なストロークプレイで「愛って呼べるほどのもんじゃない」も披露。続く「祈り」からはバンドを擁してのステージへと展開していったが、個人的に弾き語りを観たのは08年秋のツアー「天才」以来だったので嬉しかった。

 バンドセットでは松山千春の“陽”の要素が色濃く出た「愛の歌」で得意のロングトーンを響かせて、その後には五木ひろしとの共演の話題が契機となり、急遽セットリスト予定外だったワルツナンバー「慕う」を歌い上げてみせる。こういうサプライズこそ彼のコンサートの真骨頂。バンドリーダー夏目一朗がこの日体調不良で欠席だったゆえ、「幸せ」のバンドメンバーによるコーラスパートはちょっと頼りなかったものの、「最後のチャンス」「残照」「君を忘れない」など、震災以後どうにも沈む僕らを元気づけるかのような楽曲が続く。今回のツアーは体調が良いようで、いつにも増してゆったりとステージを展開しているようだった。そして当然の如く歌声が絶好調で、オフマイク気味に歌う得意のパフォーマンスにおいても声量が足りなくなることはない。言葉ひとつひとつを僕らの胸に刻みつけるような歌唱だ。

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 アンコールも長丁場。丸山ももたろうの力強く豪快なストロークプレイ、ソロプレイがフィーチャーされた「北風」、“俺の人生 このまま終わりはしない”と歌い上げるブギーナンバー「俺の人生」など、手拍子とスタンディングオベーションが千春を待ち受ける。さらに観どころだったのは“ももちゃん、Em”と指示して「人生の空から」をももたろうのアコギ1本をバックに歌い上げてみせた場面。さらに“ももちゃん、Em”と「季節の中で」、またもや“ももちゃん、Em”と「銀の雨」、そして“A(アー)”で「恋」も披露。「これはサービス残業ですから」などと言って喝采を浴びる。この辺りも前述同様にまったくのセットリスト外のこと。そして恒例「長い夜」は多くのひとが立ち上がり合唱していた。Wアンコールでは好永立彦のシングルコイルサウンドによるオブリカートも印象に残った「雪化粧」が披露されて、ステージに雪が降るという演出でのエンディング。「どもっ!」と力強い挨拶とともにマイクを落とす千春だった…。

 08年には不安定狭心症で療養生活を強いられた松山千春ではあるが、復活後のステージは非常にパワフルである。フォークシンガーである立脚点を常に意識しつつも、近年のアルバムには多彩な音楽性へのアプローチも顕著。アコースティック色の持ち味はもとより、スカナンバーやレゲエ、ゴスペル、カンツォーネ、中国の古楽を取り入れたアレンジなど、一連の代表曲の印象でしか知らないひとは聴いたら驚くはず。冒険的とも思えるサウンドアプローチでもちゃんとスタンダード性を感じさせる楽曲に仕上がるのは、やはり唯一無二の千春のヴォーカリゼーションがあってこそであり、また歌詞においても過剰な装飾を避けて率直な詞表現も目立っている。デビュー35年を迎えても相変わらずの千春の挑戦は続いており、今年は『ずうっと一緒』以来となるオリジナルアルバムにも期待したいところだ。

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35th Anniversary 松山千春の世界 Chiharu Matsuyama Selection【初回生産限定盤】COCP-37188-91¥10,500(税込)
35th Anniversary 松山千春の世界 Chiharu Matsuyama Selection【通常盤】COCP-37192-5¥8,400(税込)

http://columbia.jp/chiharu35/

 またデビュー35周年を記念して、松山千春自身の選曲による4枚組CDによるボックスセット『35th Anniversary 松山千春の世界 Chiharu Matsuyama Selection』が1月25日に日本コロムビアより発売された。「旅立ち」「大空と大地の中で」「銀の雨」「恋」「季節の中で」「長い夜」「君を忘れない」など、レコード会社の垣根を超えた数々のヒットナンバーはもとより、シンガーソングライターとしての様々なトライアルがパッケージされた全63曲を収録。松山千春の足取りをつかむ契機として良いお供になる作品ではないか。

 なお松山千春はFM NACK5 / 毎週日曜日 21:00〜22:00のほか、全国の様々なラジオ局にて「松山千春 On The Radio」を放送しているが(放送日、時間は放送局によって異なる)、1月29日(日)「松山千春 On The Radio」放送後の深夜25:00〜29:00にはFM NACK5で特番「NACK5 Special 松山千春デビュー35周年記念『松山千春の世界』」が放送されることも決定。ボックスセット『35th Anniversary 松山千春の世界 Chiharu Matsuyama Selection』発売を記念して、数々の名曲がたっぷりとかかる4時間となりそう。日曜深夜ということでベッドに横になりながら耳を傾けてみたらいかが…?

Text by KAZUTAKA KITAMURA
2012年1月28日