2008年03月25日

ロジャー・ジョセフ・マニング・Jr.『Catnip Dynamite』 INTERVIEW

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Photo by EIJI KIKUCHI

 2月に来日、ローランドのイヴェント「ローランド・サウンド・スパーク 2008」で、ホットなライヴ・パフォーマンスを魅せてくれたロジャー・ジョセフ・マニング・Jr.。Player2008年3月号の「ALBUM LEGEND」ではジェリーフィッシュの『ベリーバトゥン』を特集したのだが、「ローランド・サウンド・スパーク 2008」ではまさに『ベリーバトゥン』収録の「THAT IS WHY」「半分裸の王様」もプレイしてくれたりと、ロジャー・ファンにとっては実にメモリアルなライヴとなった。

 そのロジャーだが、実は2ndソロ・アルバム『Catnip Dynamite』を完成させたうえでの来日であり、大阪、東京のイヴェントとともにアルバム・プロモーションの取材も行なっていたのである。『Catnip Dynamite』はキーボード・プレイのみならず、ギター、ベース、ドラムなどほぼ全楽器を自身でプレイ。さらに彼の十八番である重厚なコーラス・ワークも健在である。楽曲的にも今回も本当に名曲揃いで、ぶっちゃけ“1人ジェリーフィッシュ”状態というか、ジェリーフィッシュ『ベリーバトゥン』『スピリット・ミルク』の延長線上にあるものだと言っていい。ただ、こだわりのアナログ趣向サウンド・メイキングでありつつも、今の時代ならではのニューウェーヴィなアプローチも随所に見られたりと、新旧のテイストがバランス良く融合されているのはさすが。ちゃんと2008年のポップ・アルバムとして仕上がっているのがポイントだろう。単なるノスタルジックでは終わらない内容だし、それでいて何年か先に聴いても相変らずのポップ・スタンダードとしての品質を保っているかのような音なのである。個人的には教会音楽のような崇高さを備えた「Surival Machine」に鳥肌が立った。

 タイミング的に『ベリーバトゥン』特集では間に合わなかったロジャーのインタビューだが(その代わり3月号の誌面ではジェイソン・フォークナーにたっぷり語ってもらった)、せっかくの傑作『Catnip Dynamite』携えての取材チャンスをみるみる逃す理由はない。ということで、Player Blog特別企画としてロジャーの最新インタビューをお届けしよう。なおモバイル・サイト「PlayerギターLOVE」ミュージシャンズ・ピックアップでは、ロジャーからPlayer読者へのメッセージ動画もアップ中。ぜひ合わせて御覧いただきたい。それにしてもとても紳士的でフレンドリーだったロジャー。インタビュー続きですっかり声が枯れてしまっていたのに、非常に丁寧にたっぷり語ってくれて、逆に申し訳ない気持ちになってしまった。このインタビューを契機に、ひとりでも多くのかたに『Catnip Dynamite』を聴いていただければ幸いだ。本当に素晴らしいアルバムなんだから!

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Roger Joseph Manning Jr.
『Catnip Dynamite』 
ポニーキャニオン PCCY-1871


「ローランド・サウンド・スパーク 2008」ではジェリーフィッシュの曲も聴けて凄く嬉しかったです!
 楽しんでもらえたのなら嬉しいよ。
 ライヴではローランドSH-201に加えて、ローランドの新製品ファントムG8をプレイされていましたが、『Catnip Dynamite』のレコーディングでも使用されたんですか?
 いや、レコーディングの段階ではまだファントムG8はできていなかったんだ。だからファントムXシリーズを使ったよ。あとSH-201もちょこっと使ったね。
 『Catnip Dynamite』ではほかにどのような楽器類をプレイしたんですか?
 クラヴィネット、ウーリッツァ、ミニムーグ、ローランド・ジュピター8…鍵盤楽器類に関してはヴィンテージ・コレクションを持っているからね。それとソフトウェア・シンセも幾つか使った。それにギターやアンプやエフェクター類…とにかく自分の持っている機材を駆使したよ。
 やはりヴィンテージ機材でもレコーディングにこだわっているんでしょうか?
 理想を言えば、使えるのならばマイクでも何でも古い機材を使って昔ながらの方法でレコーディングしたい。でも現状はいろんな制約や時間的な問題もあるわけだし、僕のスタジオは決して大きいとは言えないからね。機材やサウンド・ソースに関しては、その場にある、気軽に使えるようなものでいいと思ってる。僕はまず曲ありきだと思っていて、パフォーマンスがあってこそのレコードだと思うから、機材にはそんなにうるさいほうじゃないよ。
 そんなことないと思うけれど(笑)。
 バンドとは違って僕の場合はソロ・アーティストだから、コンピューターをアシスタントに据えて納得行くまで音作りができるスタイルだとは思うけれどね。『Catnip Dynamite』も基本的には全部自分の作れる音で作ったよ。スティール・ギターだけは他のひとにお願いしたけどね。レコーグィングでも機材でも「アンティークなものじゃなきゃ駄目」って言うひともいるけど、僕はそこまでは言う気はないんだよ。そりゃ、また60年代や70年代のような音作りもやってみたいけどね。
 では、スティール・ギター以外のすべての楽器プレイはロジャー?
 ミックスとマスタリングといった作業はやらなかったけど、演奏面に関してはほぼ全部自分でやったんだ。
 トラディショナルなサウンドと、新しい要素が混じっていて、凄くフレッシュなサウンドのアルバムで感動しました。
 アリガトウ。
 いつもロジャーのサウンド・メイキングやアレンジには驚かされるんだけれど、ソングライティングの時点であの音世界はイメージできているんですか?
 そうだね。それも長年の経験で培ってきたやり方があるから、最近はわりと早くできるようになってきたと思うよ。まずはメディテーションじゃないけれど静かに目を閉じてみて、自分の求める完成型を思い描いてみるんだ。それが浮かんできた段階でパソコンや楽器に向かって、浮かんだものを少しずつ形にしていくという。だから最初にできあがりの音が聴こえてくるかどうかが、曲作りのポイントになってくるんだよ。
 あんな壮大なサウンドをよく作る前からイメージできるなぁ。ソングライティングできない人間には想像できない作業だよ。
 ほら、喋る前に頭の中で言葉を組み立てたりするじゃない? あの感覚に似ているんじゃないかな。僕がああいった壮大な音世界を作れるようになれたのは、勿論自力で憶えていったところもあるけど、やっぱり好きなレコードからの影響は大きいよね。
 ロジャーはいろんなタイプのメロディが書けるソングライターですが、具体的にどのように曲作りをしているんですか?
 最初はピアノとヴォーカル、もしくはギターとヴォーカルだけのかたちからスタートするんだ。でもさっき言ったように、その段階から曲の持つエネルギーや曲の進むべき方向性は見えているんだよね。例えてみるならば、“ビーチ・ボーイズ風のソフトなバラードみたいになるんだろうな…”とかさ。そうじゃないと良い曲には仕上がらないと思う。その後にアレンジやプロダクションといった作業をしていくわけだけれど、それが無くても成立するのがやはり良い曲なんだ。だから“曲の持つ感情…激しさや想いといったものは、ピアノとヴォーカル、ギターとヴォーカルだけでも充分に伝わるべきだ”と思って、常にソングライティングに取り組んでいるんだよね。
 なるほど、説得力あります。
 勿論、その後に付いてくるレコーディング・テクニックやプロダクションっていう部分は、お飾りではあるけど楽しいよ(笑)。だけど本当に必要な材料っていうのは、そこからいろいろなものを差し引いてミニマムなもので済むものなんだ。基本的には車に乗っているときだったり、スタジオで何かやっているときにふと思いついたものを、パズルを組み立てるようにして曲に仕上げていくわけどね。“これがあるからこの曲はフレッシュなんだ!”とか自分が一番エキサイトできるもの、あとは曲を書いているときに感じる、自分では説明のつかない神秘的な感覚やスピリチュアルな導き…そういうのに身を任せて曲を組み立てているわけなんだ。
 最後になりますが、Player2008年3月号ではジェリーフィッシュ『ベリーバトゥン』の特集をやったんです。ロジャーにとって今振り返ると『ベリーバトゥン』はどんなアルバムでしたか?
 本当に楽しかったから良い想い出もたくさんあるし、振り返ると感謝の気持ちが湧いてくるよ。若くしてあれだけのチャンスにも恵まれたわけだしね。僕は当時まだ22,3歳だったけど、アルバムに伴うツアーやプロモーションを経験したことは凄く勉強になったんだ。ツライことや個人的な確執もあったのも事実だし、いろんな意味でのドラマがそこにはあったんだよね。ジェリーフィッシュではアーティスティックな瞬間をたくさん経験させてもらったよ。特にレコードを作るプロセスに関しては学ぶことが多くて、僕には“レコード大学”みたいな場所だったなぁ。ジェリーフィッシュで得たスキルは、僕が自己表現をしていく上で間違いなく役立っているんだ。

Thanks to Roland Corporation,PONY CANYON INC.

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