デビュー30周年を迎えて精力的なリリース、ライヴ活動などを展開中の杉 真理。1月には久し振りのニュー・アルバム『魔法の領域』(NAYUTAWAVE RECORDS/UNIVERSAL MUSIC)を届けてくれました。竹内まりや、安部恭弘、伊藤銀次、姫野達也、上田雅利、松尾清憲、村田和人、堂島孝平、須藤 薫、黒沢秀樹ら、親交の深い豪華ミュージシャンたちとの共作、共演が核となったこのアルバム、まさに杉さんならではというか、杉さんにしか作り上げることはできないだろうという見事な作品です。
杉 真理『魔法の領域』
NAYUTAWAVE RECORDS/UNIVERSAL MUSIC
ところでこのアルバム中で杉さんが自ら書いたライナーノートの中で、「一度組んだバンドは死ぬまで解散しない、というのが僕の基本ポリシーなのだ。」と書かれているんだけれど、これって物凄いことだと思いませんか? 実際『魔法の領域』ではデビュー時のバンド MARI&RED STRIPESが再編、またBOXやピカデリーサーカスなど、ソロと平行して展開してきているバンドの新曲としても収められているところがユニークです。
実際昨年はピカデリー・サーカス、杉 真理&須藤 薫、BOX etc...様々な形態でのライヴを展開してきた杉さんですが、昨年10月20日には渋谷BOXXにて久々のBOXのライヴも行なわれました。その名も「BOX in BOXX」! 会場内はぎっしりでオール・スタンディング。観たところ30〜40代のファンが多かった気がします。BOXは杉 真理(vo,g)、松尾清憲(vo,g,key)、小室和幸(vo,b)、田上正和(g)による編成のバンドで、ビートルズのリスペクトとその発展型を提示した『BOX POPS』('88年)、70年代ポップ/ロックにテーマを広げた『JOURNEY TO YOUR HEART』('90年)という2枚のアルバムをリリース。現在は2in1盤でリリースされています。
ライヴのほうはオリジナルBOXメンバー4人に加えて、島村英二(ds)、小泉信彦(key)が加わった6人編成。もちろん全員スーツ姿! 「Train To The Heaven」で幕を上げたライヴ、「I beg you please」「Crazy Afternoon」「人生はコンフレーク」「魅惑の君」…とお馴染みのレパートリーが惜し気もなくどんどん披露されていきます。前半のハイライトとなったのは「寒い国から来たスパイ」でしょうか。ユーモアあふれる歌詞が楽しいこの曲、変拍子を織りまぜた間奏の展開など、このひとたちならではのソングライティング/アレンジ・センスが炸裂したキラー・チューン。エンディングでは杉 真理と田上正和のツイン・ギター・ソロも見事レコード通りに再現されていました。
中盤ではMARI&RED STRIPES「雨の日のBirthday」や松尾清憲「エデンの南」といった各々のレパートリー・コーナーもありつつ、杉さん曰く“15年前ならこんな歌詞は書いていない”という新曲「恋するバツイチガール」、また『魔法の領域』にも収録された「Lennon=McCartney」の初披露といったサプライズも用意されていました。終盤戦では各メンバーのソロ・プレイがフィーチャーされる「What Time?」、杉さんのハイトーン・シャウトがトレードマークとなっている不朽の名曲、『JOURNEY TO YOUR HEART』のラストを飾る壮大なバラード「君の瞳のRainbow」 で本編締めと、BOXの神髄を余すことなく魅せつけてくれたようなセットリストでした。
BOXというと当時はビートルズのサウンドスケイプを見事に再現したことで話題を集めました。しかしユニークなのは、ビートルズが使ったドンズバの楽器や機材もそのまま使って再現…というのではなくて、あくまでBOXというフィルターを通して、最高のオマージュであり、また単なるオマージュだけで終わらないBOX独自の音世界を築きあげている点です。もっとも小室和幸のヘフナー・ベースは彼のトレードマークではありますが、例えば田上正和がプレイしていたのはフェンダー・カスタムショップのアクティヴ・サーキット仕様のストラトキャスターでした。各種エフェクターを駆使しつつフェンダー・ツイン・リヴァーブにプラグインされていましたが、これが粘り気のある艶々したトーンでなんとも見事だったのです。杉 真理&松尾清憲の黄金コンビはBOX以外でもピカデリーサーカスなり他でも観られるわけですが、田上正和の粋なギター・フレーズやソロ・プレイが入ると、“あぁ、BOXだなぁ”という気が実にします。杉さんもフェンダー・ストラトキャスターと、曲によってはアコギをプレイされていましたね。
BOXとしてのレコーディング曲「Lennon=McCARTNY」ほか、ポップ・ミュージックの神髄が敷き詰められた『魔法の領域』は本当に見事なアルバムです。これまでも数々の名曲を編んできた杉さんではありますが、甘いヴォーカルとメロディでたっぷり堪能させてくれます。しかもそれを多数のミュージシャン…それこそ杉さんの盟友と呼べる同世代のミュージシャンから彼を慕う若手ミュージシャンなどなど、幅広い人脈が介しての開放感あふれる音作りがツボです。ゲスト陣とともに杉さんもギター・プレイをたっぷり聴かせてくれていますしね。このアルバムを引っさげてのライヴもいよいよ3月に行なわれます。
【 杉 真理 ソロライブ・魔法の入口 】
日 時:2008年 3月22日 (土) 開場 17:00 開演 18:00
会 場:横浜・MEZZOLOHAS
【 杉 真理 ソロライブ・魔法の領域 】
日 時:2008年 3月23日 (日) 開場17:00 開演19:00
会 場:六本木・STB139
また、'87〜'93年のソニー時代のソロ・アルバム『HAVE A HOT DAY!』『Ladies & Gentleman』『Wonderful Life』『Made In Heaven』『WORLD OF LOVE』『FLOWERS』も、3月19日に紙ジャケット仕様/最新デジタル・リマスタリングがほどこされてソニーGTよりリイシュー。まさに杉 真理ファンには至福の時間ですね。ポップの魔法にたくさんかけてもらっちゃいましょう!