11月10日に公開されるHi-STANDARDのドキュメンタリー映画『SOUNDS LIKE SHIT』、試写会にお誘いいただき拝見しました。2013年公開の『横山健 -疾風勁草編-』を観たあとで観るとわかりやすい気もする。メジャー・インディー、国内海外の境界線をなくした象徴のバンドでもあり、ライブシーンにおける革命を起こしたバンドである。ただ、僕とほぼ年齢が変わらない同世代の人たちだったので、当時は正直ピンときていなかったところがあった。ハイスタの台頭と例えばLUNA SEAの台頭期って同時期なのだが、その90年代頃の僕は日本のメインストリームの音楽に興味がなかったのである。
でもってアラフィフになった自分が今、Hi-STANDARDだったり、Ken YokoyamaだったりNAMBA 69だったりを見て思うのは、イノベーターだけれど凄く親近感も感じるしシンパシーも抱くってこと。この映画、一つだけ残念だったのはハイスタ活動休止後の難波さんはULTRABRAiNだけしか触れていなくて、AKIHIRO NAMBA〜NAMBA 69で再びパンクロックスタイルで難波さんが歌う決断をした、そこをとらえていたら僕的に100点満点だったのである。あのときの難波さんは、ハイスタの看板と真剣に真っ向勝負でベースを持って歌い始めたし、その先にライアンとの再会もあったりする。あの自信がなかったら横浜スタジアムを押さえるなんてこともできなかったはずで…それが運命のイタズラといえばなんというか、震災を経てのAIR JAM、ハイスタ活動再開へと駒が進んでいくのだ。こんなことは誰にもわからない。だからすごいことだって思う。その辺のところまでわかっている人が観たら、一連のハイスタ復活の理由が凄く理解できる第1級の映像資料である。
そして僕はてっきり、2011年以前の数年、それこそツイッターの警告騒ぎとかあの辺でメンバー間の意思疎通など取れていないのかと思っていたら、なんのかんので連絡を取り合う努力はしていたのだなってことも映画内で明かされる。そのほか、初めて知ることも多々あって、そこまで赤裸々にするのかっていうのも驚いた。その赤裸々さは『横山健 -疾風勁草編-』と変わらないし、難波さんも恒岡さんもかなりストレートに包み隠さず話している。この映画を観て思うことは世代によって違うのかもしれないけれど、同世代アラフィフが思うことは、人生何が起きるかがわからないってことが希望だし絶望だし、あるところでは流れに身をまかせるしかないときもあるし、真っ只中ではどんなにあがいても理解しあえないことだってある。時間が解決するなんて短絡的なまとめ方は僕は嫌だけれども、どんなに反発しようが、理解できずに距離を取ろうが、あるいは本人にそんなつもりもなかったが誤解してしまったりとかね、そういうことがある中でもどこか根底に出会った宿命だったり、あまり容易く使うのを好む言葉ではないが絆だったりとか、それを諦めず秘めていることって大切だなとも感じた。(Player編集長 北村和孝)
Hi-STANDARDのドキュメンタリー映画『SOUNDS LIKE SHIT』、2018年11月10日より全国ロードショー!
https://soundslikeshit.net/