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NoisyCell 2ndミニアルバム『Colors』ロング・インタビュー

 NoisyCellの2ndミニアルバム『Colors』が、10月19日にバップからリリースされた!
 今年8月、Kiara(b)とTatsuya(ds)を迎え新体制となった彼らの新作は、核となるラウドロックのエモーショナルさを持ちながら、より多くのリスナーにアピールできる、キャッチーでスケール感の大きい楽曲が並ぶ。プロデュースは、前作『Sources』と同じくPay money To my pain(以下P.T.P)のPABLO。バンドのキーマンであるRyo(g)とRyosuke(vo&g)と共に、曲作りの段階から密にアイデアを練り上げ、より一層曲の奥行きと世界観が深みを増している。ダイナミックな展開が印象に残る「Will」、ハードコアで攻撃的な要素を押し出した「Mirror」など、どの曲も非常に聴きどころが多いが、やはりハイライトはリード曲「Lilly」だろう。初の試みとなる日本詞を導入した「Lilly」は、ラウドでドラマティックな展開がありながら、Jロックの“王道”とも言える日本詞の強いメロディがあり、今後彼らの代表曲の1曲になるのは間違いない。新作についてRyoとRyosukeが語ってくれた!

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伝わりやすさ、わかりやすさ、キャッチーさを磨き込んだアルバム

 今年8月からKiaraさんとTatsuyaさんが加わり新体制となりました。彼らは、バンドにどんな要素を持ち込んでいますか?
Ryo:関係が以前よりもフラットになったというか、全員が全員に意見しやすい環境になったので。バンドを少しでも良くするためにアイデアを沢山くれるし、ライブやリハの時も一体感が増しています。ドラムのTatsuyaはストイックで体育会系なとこがあるので、一番年下なのを物ともせず食らいついてきます。俺とRyosukeは本当にシャイで内向的だったので(笑)、その辺もリードしてもらっていますね。ベースのKiaraはキャラクターがとにかく底抜けに明るいので、場の空気を和ませてくれます。そんなキャラだけど、周りへの気配りはしっかり出来る。初めてバンド体制になったことで、より一層一つの目標に向かって全員が動いている実感が湧き、モチベーションが上がっていますね。
 『Colors』は、NoisyCellらしいエモーショナルでキャッチーな要素をさらに磨き込んだ内容だなと。曲作りを開始したのはいつ頃?
Ryo:曲作りは、前作『Sources』のツアー・ファイナルが終わってから少しずつ始めました。なので、昨年の12月からです。以前から作っていたデモも少しありつつ、全体ミーティングでテーマの話し合いをして、それを踏まえて作っていった曲が大半です。
 サウンドとしては、生のバンドサウンドの力強さがより加わった印象を受けます。NoisyCellは以前から非常に音楽性が幅広いバンドでしたが、今回はカラフルでありながらグッと要素を絞り込んでいるなと。
Ryo:全体ミーティングの時にテーマを決めたんですが、その時のキーワードが”伝わりやすさ、わかりやすさ、キャッチーさ”といったようなものでした。前作『Sources』ではラウド方面に向かって突き進んだのですが、今作はそうでなく、邦ロックを聴いているような層に対しても間口を広げ、前作、前々作と掘り下げてもらいたい想いもあります。そういう意味で、スクリームを全面に出したモダンなラウド、みたいな楽曲は作らずにNoisyCellのらしさを出していこうと考え、Ryosukeの歌声を活かした楽曲になるよう、メロディが今まで以上にキャッチーになるように意識しました。楽曲の進行や各パートの重ね方もライブ感のある進行になるよう意識しました。 
 今回も前作と同じくプロデューサーにPABLOさんが参加しています。PABLOさんは曲やアレンジ、演奏、アルバムのコンセプトなどどんな役割を果たしましたか?
Ryo:今回は今まで以上にPABLOさんと一体となって作り上げたという印象があります。テーマを掲げた際、じゃあ一体どういうものを作っていけばテーマに沿っているのか?と探り探りな部分もあったのですが、そうやって迷っている時に「そのテーマを満たせるデモはこれのサビのメロ。」などと、具体的に教えて下さったし、その結果方向性を固めていく事が出来ました。前作では、レコーディングでギターを重ねる本数がすごく多く、様々なギターのフレーズを鳴らして、その音数で音の壁を作るようなイメージでアレンジをしていったのですが、PABLOさんから「ギター2本でも足りるようなアレンジをして、シンプルにしてやってみて!」というアドバイスがあり、足し算的にアレンジするのではなく引き算的にアレンジするよう心がけるようになりました。そうしていくことにより、本当に楽曲が欲しがっているフレーズが見えてくるようになったし、単純に各パートが引き立つようになったのが印象的でした。
Ryosuke:PABLOさんとのやり取りで一番印象的だったのは、日本詞を作っている時でしたね。初めての日本詞という事でメンバーはもちろん、PABLOさんもしっかり納得させるものに仕上げる事が目標でした。初めに着手したのがLilyだったんですが、最初出来上がったものを見せた時に「これじゃ泣けない。もっと俺を泣かせてよ」って言われて…それから5回くらい書き直して、ようやく「良いね!」と言って貰えました。書きながら一番意識していたのは、「詞の意味が一発で聴いた人に入ってくる事が大事なんだ」という、PABLOさんからのアドバイスでした。一聴して言葉の意味がスッと入ってくるような言葉選びだったり流れだったり。僕の中で、日本語詞にトライする上で指標となる、大切なアドバイスのひとつになっています。
 メロディ・センスや大胆な展開など、非常に曲のクオリティが高いですが、曲作りに関しては苦労しましたか?
Ryo:アレンジ面では、PABLOさんが“バンドメンバーの一人”といっても過言でないくらい一緒になって作り上げたので、PABLOさんのアイデア面やセンスに救われている部分も大きいです。曲作りは、最初はテーマの具体的な方向性を掴めず苦労しましたが、それがわかってからは楽しみながら作れました。曲構成で一番悩んだのはLilyで、ドラマティックなリード曲に作り上げるために、PABLOさんと10回くらい作り直したと思います。
 前回、歌詞はRyosukeさんRyoさん共同で書いていましたが、今回はRyosukeさんが手がけていますね。注目すべきは歌詞に日本詞が入っていること。よりRyosukeさん独自のメッセージ性が磨きこまれているなと。
Ryosuke:元々邦楽を聴いてきた人間だし、NoisyCellを始めた頃から日本語で歌いたいって気持ちはずっとありました。日本語の歌を歌っているアーティストを見て、やっぱり良いと思うんですよ。音に乗っかる言葉、その意味がライブで一回聴いただけで伝わってくる…伝える事が出来るっていう。ライブハウスで、ラジオの前で、パソコンやスマホの液晶越しで、僕らの音楽を聴いてもらえるチャンスは沢山あれど、何度も聴いて貰えるチャンスは最初の一回きり。だから、もっと彼らの心を掴みたい! 『Colors』のテーマを話し合って、分かりやすさとキャッチーさにフォーカスしようとなった時、NoisyCellが日本語を歌うなら今しかないと思いました。
 レコーディングを開始したのはいつ?
Ryo:レコーディングを開始したのは4月中旬です。時間が無い中でのレコーディングだったので、そこから短期間で一気に仕上げました。ちなみに、新メンバーはプリプロやレコーディング中に探していて、まだ出会えていなかったので、今作はサポートの方々にドラム、ベースをお願いし、新メンバーは次作から参加となっています。レコーディングは、ドラム・サポートにPABLOさんの紹介でスタジオ・ミュージシャンの城戸紘志さん、ベースサ・ポートにAtsushiさん(Ender,ex GUN DOG)を迎え、作業を進めました。拘った点は、やはり歌やギターの本数を大幅に減らしたところ。各パートがそれにより引き立ち、全ての楽器が何を演奏しているのかより聴こえるようになった。ボーカルに至っては、録り終えたコーラスをミックス段階でだいぶ減らした部分もあります。曲によっては、8割くらい減らしました。ミックス段階でも、テーマに沿って前作以上にきらびやかなサウンドを目指したので、打ち込み系の音の広がり方も以前より壮大になったと思います。
Ryosuke:今回のレコーディングでは、歌のニュアンス、ブレスの位置、強弱、ハモリなど、今まで何となく歌っていた細かい部分を事前に詰めて挑みました。特にブレスの位置は前よりも意識しました。そうすると、段々“歌も呼吸するのと一緒で吸って吐いての繰り返しなんだ”と思えてきて…吸う位置が決まると、自ずと吐く位置と吐き方が決まってくる。どれだけ吐くのかで、どれだけ吸えば良いかもわかる。そういう呼吸のリズムをドラムのリズムに合わせていくと、歌い方のリズムというか、そういうのが計算式みたいに導き出されていくんです。全曲通して呼吸のリズム感を大切に歌いました。

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自分達が持つグレーなカラーから少しだけはみ出すことができた

 タイトルのColorsにはどういう意味が?
Ryosuke:切掛けは、Ryoと2人で「俺達の曲は色めいていない」という話を、これまでずっとしていた事でした。どの曲もグレースケールの中にいて、黒の濃淡で表現できるような気がずっとしていた。理由は、その時はまだ明確ではありませんでしたが、今になって思えば、その曲達は2人だけで作った世界観だったからだと思います。別の人間の存在が介入し得なかったから…でも今の僕らは、今日までライブを重ねてきたし、気が付くと他のメンバーの顔もしっかり見られるようになった。そういう外側からのエネルギーみたいなものを取り入れるようになり、「Lily」のような曲も生まれてきて、今回はグレースケールの枠を少しだけはみ出せた気がした。楽曲としてもバンドとしても新しい一歩を、という意味も込め、このタイトルに決めました。
 「Lily」は、新たな幕開けを飾るにふさわしいスケール感の大きなナンバーだなと。従来のらしさを残しながら、“君と居たあの日と夢で踊る〜”のBメロからの開けた世界観が秀逸ですが、この曲はどのようにして誕生したのでしょうか?
Ryo:最も今作のテーマに沿って作る事を意識した曲です。制作ミーティング時、PABLOさんに「リード曲としてNoisyCellのいいとこ取りをして、一聴でNoisyCellがどんなバンドか伝わるような曲が欲しい」と言われて、その条件を満たすべく、自分の考えるNoisyCellの良いところを考えながらも、テーマに沿うようにわかりやすさや、伝わりやすさも意識して作りました。他の楽曲が出来ていく中で徐々にテーマに対するアプローチが明確になってきて、そんな中でテーマを満たすサビが生まれました。このBメロが頭の中に浮かんで来てデモを作った時は“正直やりすぎかな?”とも思いました。邦ロック的なアプローチ過ぎるかなとも思ったけど、今作を作るにあたってNoisyCellも殻を破る時でもあると考えていたし、メンバーやPABLOさんの反応が良かったので、そこからどんどん形が出来上がりました。メロディやBメロにあるようなBUMP OF CHICKENやASIAN KUNG-FU GENERATIONみたいな邦ロック的要素、演奏や音作りにはP.T.Pやフーバスタンク、ニッケルバックなどのラウド的な要素をどっしり構え、それらをミックスすることでNoisyCellらしい楽曲に繋がったなと。
Ryosuke:この歌詞は今年の初め頃に書き始めたもの。その頃は、大切な人の死が重なった時期でした。バンドとしてもメンバーが脱退したし、僕個人としての喪失感を強く感じていた時期でした。そういう感情が、Lilyの持つ切なさみたいなものにリンクして、自然と別れを歌った曲になりました。Lily=百合は葬儀の時に手向けの花に手渡されたもので、その時期に何度も目にしていた花でした。百合ってすごく綺麗だけど、近くでよく見るとグロテスクで怖いんですよ。そういう部分が凄く人間っぽいなって思ったし、別れを直視したがらない自分とも重なりました。
 エレクトロニカなイントロからダイナミックに展開する「Will」は、Ryoさんの色彩豊かなギターとRyosukeさんのエモーショナルな歌が強く響きます。
Ryo:この曲は、もともとデビュー前にボカロ曲として発表しようと作成した曲で、シンセがリードを取るような今以上にキラキラしている曲でした。デモ聴きの際、この曲も今作のテーマに沿っていると考えて、アレンジして世にだそうという事になったので、シンセがリードを取った部分をギターに変更して、バンドサウンドをもっと押し出すアレンジに変えました。それでもシンセが特徴的なアクセントになっているので、アルバムとしても良いバランスの曲になったと思います。ボカロ曲として出そうとしていた事もあり、日本詞が乗ることを前提にメロディを作っていたので、最初こそ英語で仮歌を取ってもらったけど、最終的に日本詞の方が馴染み良く、Ryosukeも「Lily」の次に書いた日本詞だったので、「Lily」よりもスムーズに作詞出来たようです。
 ドラムのスリリングなコンビネーションから始まる「Mirror」は、ハードコアな部分がありながらも非常にキャッチーだなと。
Ryo:「Mirror」は、前作『Sources』以降で最初に出来たデモで、当時はその制作やツアーのストレスを一気に発散するために、好き放題やってやろうと作った曲でした。なので、僕のルーツであるHawaiian6やNorthern19などのメロコア要素に、スラッシュビートやAメロのコーラスワークに詰め込んだり、冒頭のイントロ導入部をハードコアバンドのいかにもモッシュがこれから起こりそうな感じの構成にしたりと、自分のやりたい放題やっています。サビのメロディもNoisyCellらしくないような明るいやつにしてやろうと、思い切ってキャッチーなフレーズを入れました。ワンコーラスのデモが完成した段階では“NoisyCellではやらないだろうな〜”と思っていたくらいの曲ですね(笑)。デモ聴きの時、PABLOさんから「次のテーマに沿うキャッチーなメロディはこの曲だよ!」という意見を頂き、そこで初めてテーマに対する方向性がはっきりしたので、ある意味今作で一番キーとなった曲だと思います。
 オルガンのバッキングが印象的な「Black Smoke」は、このバンドらしい疾走感を宿した曲だなと。
Ryo:元々は、サビのメロも掛け合いで「オイ!オイ!」という声が入っていて、ツインペダルをドコドコ踏んだ、重たいラウド目の曲だったんですが、ノリを重視してグルーヴを押し出していくようアレンジした結果、ファンキーな曲になりました。それを後押しするように、最初は一部だけにアクセントとして入っていたオルガンを全面にフィーチャーし、今作の攻め曲に仕上げています。こちらの曲はオルガン・プレイヤーで、PABLOさんの知り合いでもあり、堂珍さんのサポートもしている堀向彦輝さんを迎え、元々デモで入れていたオルガンの打ち込みを、よりダイナミックにアレンジして弾いてもらいました。曲全体のビート感は、R&Bやファンクなどを意識して作り、そこにラウドなフレーズを混ぜ込んでごちゃ混ぜした感を出しています。最後のラウドなヘドバンパートも、そういう遊び心から来ていて、身近なバンドが誰もやってない曲に作り上げられたと思います。
 NoisyCellらしいテイストを感じるのが「do {Parade;}」だなと。このインダストリアルでモノクロなオープニングから、光が射す感じはやはり“独自なもの”だと思います。この曲はどのように生まれたのでしょう?
Ryo:最後に出来た曲で、アルバムのスパイスとして作り上げた曲でもあります。テーマに沿ってアルバムを作っていった中で、NoisyCellのインスト曲や前作のバラード「Last Theater」など、重い楽曲は一旦作らず楽曲制作をしていきました。テーマに沿う曲がミニアルバムに十分到達したということで、逆にテーマを一切取っ払った重苦しい曲も作ろうという流れです。楽曲自体は、様々な古い機械のサンプリング音をレイヤーしてスチームパンクなイメージを作り、Aメロはデモではメロディがあったけど、Ryosukeのアイデアで無しにしました。その結果、サビが始まった時に初めて歌声がガツッと入り込んでくるようになりました。“荒廃した大地に乾いた風が吹いている”イメージで作ったので、前作のインスト曲「Insomnia」からの「Last Theater」の流れで感じる印象に近いと思います。それが1曲にまとまって、更に無機質になった感じです。ライブでもアクセントとして映える曲になりそうです。
Ryosuke:デモを聴いた時も、まさに荒廃した大地に乾いた風が吹いていました。色んな事を連想させられる、実は物凄いエネルギーを持っている曲です。歌詞は結果的に2行しかありませんが、その2行になるまでに、今回の楽曲の中で一番長い歌詞を書いた曲でもあります。暗い荒野を沢山の人々がひとつの方向に向かって歩いていて。最初はみんな大きな荷物を背負っているけど、歩いていく内にその重さに耐えられなくなって、少しずつ捨てていってしまう…ひとつ捨てていく度に体が機械になっていって、最後のひとつを捨てきったときに人間ではなくなってしまう…というようなストーリーをイメージして書きました。生きる為にやがて希望を捨ててしまう。希望の逆という意味で、前作「Birth」の歌詞が逆再生で入っています。タイトルの記号は、プログラミング言語で「〜し続けろ」という命令で、do{parade;}は行進し続けろという意味の造語です。
 ギターのアルペジオと優しいボーカルが絡む「Halo of the Moment」は、ラストを飾るにふさわしいナンバーですね。グルーヴもとても心地良いです。
Ryo:「Mirror」に次いで2曲めに出来た曲です。テーマの条件を満たし、かつ前回までの「Innocence」や「Last Theater」といったバラードを超えるべく制作した曲でもあります。バラードを作るにあたり、今まで作った曲と被らない事も考えていて、とにかく色々条件を自分に突きつけた状態でバラードのイメージをしていったのですが、一番に大サビの明るいメロが浮かんできた時“今NoisyCellのバラードはこういう明るい曲だ!”と確信した。そこから、更にアレンジを進め、メインの大サビを最後の最後に繰り返して終わらせるという、壮大な一曲に仕上げました。今回、初となるストリングスのアレンジも取り入れたんですが、これは今まで避けてきたことでもあったんです。バンドアレンジにあたりストリングスを入れると、バンドが変に壮大になり過ぎる気がしたし、身の丈にあっていないし違和感につながることを危惧していたんです。でも、今作までバンドとして経験を積んできた結果、ストリングスが相応しい曲に作り上げる事が出来たと思います。
Ryosuke:歌もかなり試行錯誤しました。サビまでの盛り上がりに合わせて歌を作っていき、特にドラムが入ってくるまでの部分は、歌のグルーヴ感が重要になってくる。だから、ディテールはかなり詰めてレコーディングに挑みました。最初にこの曲のデモを聴いた時、1本の映画を観終わった後のような感動があった。同時に滅亡する世界を見つめる2人の後姿が浮かんで来たんです。そういう光景を客観的に見て、語りのような歌詞にしたいと思い書き上げました。

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P.T.Pはルーツと言えるくらいに根底で多大な影響を受けている

 お2人とPABLOさんを結ぶ共通項の中にP.T.Pがあります。個人的な印象ですが、「Lilly」のドラマティックなイントロとコーラスはPTPの「Sweetest vengeance」、「Halo of the Moment」のギターとボーカルが絡むAメロと中盤の盛り上がりはPTPの「Home」を連想させます。これらの曲にそういった要素が宿っているなと。
Ryo:ドラマティックというワードは結構好きで、そういう意味でもP.T.Pは“ルーツ”と言えるくらい根底の方で多大な影響を受けています。「Lily」で言えば、イントロでいきなりドラムをドコドコ叩く思い切りの良さだったり、同じくイントロでいきなりシンガロングを入れてしまったり…そういう事を思い切ってやってもカッコよければ良いと思えるようになったのも、PABLOさんの持つ編曲センスやアイデア・センスから発想を得ているからだと思います。例としてですが「Sweetest vengeance」も、リード曲の話になった時に話にあがっていました。「美味しいとこを集めた曲はPTPでいうと『Sweetest vengeance』だよ」って。様々なビートが混在する曲という点でも「Lily」と共通点があるような気がします。”「Halo of the Moment」が「Home」を連想させるのは意識していなかったのでなるほどと思ったけど、多分自分のバラードに対するアプローチの仕方が、PABLOさん譲りだからかもしれません。ラウドとバラードのバランスは仲間のバンドは苦労している印象ですが、僕らはそういう面ではバラードに対するアプローチを色んな方向で出来ています。それもPABLOさんやP.T.Pのバラード楽曲が持つ表現の豊かさをルーツとして発想を得ているからだと思います。
 今回のレコーディングで使ったギター、アンプ、エフェクターについて教えて下さい。
Ryo:ギターはメインのバッキングやリードはPRSのSC245です。レコーディング後に購入したオレンジ色のシングルカットモデルで2004年製です。それと、PABLOさん所有の同じモデルの青を2本を使いました。オレンジ色のPRSのサウンドがミドル寄りのふくよかなサウンドなのに対し、青いPRSはエッジの立ったサウンドなので、それらを場面ごとに使い分けて録りました。クリーンやクランチは、パートによってPABLOさん所有の73年製ストラトキャスターも使いました。「Black Smoke」のカッティングギターも全編そのストラトです。 アンプは、リアンプと宅録でのアンプシミュレーターサウンドを使い分けていて、バッキングではほぼマーシャルJVM410Hのコミューン・モディファイモデルを使用しました。その他、オールドのマーシャルもクリーン、クランチサウンドで使用しましたね。リアンプはフラクタルAxe-Fx llをかけ録りして、別チャンネルに録った素の音をリアンプしました。その際、フラクタルを通った音もリードギターやソロのサウンドにマッチしていればそのまま使用しました。その他、デモ作りの段階でライン6 POD X3で作った特徴的な音など、リアンプでは作り込めないサウンドはそのままPODの音で演奏し直したりもしました。コンパクト・エフェクターはPTS808や、PABLOさんがウィードと共同開発したストーナーズFXをブースターとして使用し、WMDのガイガーカウンターという、デジタルな歪を生み出す変態エフェクターも「do{Parade;}」などで使用しました。ディレイやリバーブは、ほぼDAWのプラグインです。
 お2人が思うアルバムの聴きどころとは?
Ryo:聴きどころは全曲随所に盛り込んでいますが、特に「Mirror」は演奏者としても、聴く人にとっても常に聴きどころしかないような詰め込んだ曲になっていますね。冒頭のギターのハモり、イントロのリードギターのせわしなさもそうだし、ギターソロもライトハンド奏法でとにかく熱い演奏をしてギターも聴きどころ満載です。コーラスも掛け合いが随所にあり、Aメロのパンク的な最小限のコーラスワークもNoisyCellでは初めてのアプローチなので、全てのパートでライブで演奏した時に会場全員で盛り上がれる曲だなと。「Lily」のシンガロングや「Black Smoke」最後のヘビーなパートもライブでみんなで盛り上がれるような作りにしてあるので、アルバムのアクセントとして、またライブを想像してワクワクしながら聴いてほしいです!
Ryosuke:ボーカルとしては“歌の呼吸感”を感じてほしい。前作よりもその点で良い歌が歌えたなあと実感して胃ます。あとは「Lily」のコーラスパート。いつか、武道館でお客さん全員の声で埋め尽くすのが夢です。その日に備えて予習しておいてほしいですね。
 本作はNoisyCellにとって今後どんな位置付けのアルバムになるのでしょうか?
Ryo:テーマに沿って作った結果、NoisyCellの作品で一番キャッチーなアルバムになったなと。邦ロックの層にもアプローチできるし、でもラウドな要素は捨てきらずに、今までのファンにも満足できるミニアルバムを目指しました。それに加えて、今まで以上にライブを想定して作った事もあり、これからのライブでの主戦力となる楽曲ばかり。第2弾となる次作では、今回以上に挑戦や振り切った部分を盛り込みつつ、従来のNoisyCellの良さを活かした作品を作れればと思っています。その時には新メンバー2人のカラーも加わり、より鮮やかなNoisyCellの楽曲が生まれると確信しています。
Ryosuke:NoisyCell新章の序章となるアルバムになったと思います。今年はメンバー・チェンジもあり、バンドとして激動の一年だったけど、このアルバムでNoisyCellとしてのしっかり進化した姿を提示できなければ、待ってくれている人も納得できないだろうと思っていた…今回の『Colors』はそういうアルバムに出来たと自負しています。今回は、新メンバー2人が音源に参加していないので、その点で未だ完全ではないとも思っていて…なので序章なんです。今回は2部作ですから、次にリリースするのがColorsの“完結編”になります。新メンバーの色も加えた、最高のオチを作りたいと思っているので、『Colors』を聴きながら楽しみに待っていて下さい!

Interview by TAKAHIRO HOSOE

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ノイジーセル
カラーズ
バップ CD VPCC-81878
10月19日発売 1,667円


2nd Mini Album “Colors” Release Party One-man Live
11月5日(土) 渋谷GARRET [問]http://www.noisycell.com