作品のファンに喜んでもらえるものを作りたかった
前作『SPADE 3』から約5ヶ月振りの新作『Quest』ですが、WHITE ASHらしいロックの要素がさらに進化しているなと。完成させた手応えは?
ありがとうございます。手応えとしては“やった! また良いものができた!”という感じですね(笑)。もしかしたら、今までの作品の中で一番"WHITE ASHらしさ"が詰まった作品かもしれないです。
本作は、全曲You Tube配信アニメ『アニメ モンスターストライク』(以下モンスト)のタイアップ曲で構成されていますが、どういった経緯でモンストの楽曲を手掛けることに?
去年末位、モンストの音楽担当の方からお話を頂いたんです。「モンストアニメの曲をやりませんか?」って。その方は、「Casablanca」(2ndフルアルバム『Ciao, Fake Kings』収録)という曲で、僕らのことを知ってくれたみたいなんです。あれは結構“静”と“動”が激しい曲で、その感じがモンストのバトルにおける緊張感とリンクして声を掛けて頂いたみたいで。実際に会ってお話したら、シングルのカップリングまで全て聴き込んでくれていて、ビックリしました(笑)。
メロディをカバーして曲にモンストの要素が落とし込むために、このアニメを見て曲のイメージを膨らませていったと思います。のび太さんが感じるモンストの魅力とは?
一言でいうと"バランス"だなと。モンストって、とにかくバランスがとても良い。モンスターに勝てるかどうかっていう、あの“ドキドキ感”って、本当に緊張と緩和の連続で。最後まで気が抜けないし、気を抜かせないんです。アニメだと、真剣な部分とコミカルな部分のバランスもよく出来ていて、ちょっと自分たちに重ね合わせたりしましたね。僕も "ロック・バンドのボーカルだけど、のび太" なんで(笑)。
今回収録された楽曲を聴いて感じたのは、WHITE ASHという要素が従来のファンだけでなく、モンストからバンドを知って聴いた人にもしっかりと伝わる位、楽曲の個性が研ぎ澄まされているなと。今回の曲作りで一番心掛けたのは何ですか?
今回に限ったことではないのですが、毎回タイアップ曲を作る時に心掛けるのは“タイアップした作品のファンに喜んでもらえるようなものを作ること”ですね。僕が作って、このメンバーで音を鳴らす以上、どんな曲でもWHITE ASHになる確信がある。だから、WHITE ASHのファンの皆には安心品質を保証して(笑)。あとは、どれだけ僕らを知らない人たちに"おっ、WHITE ASH良いじゃん!"と思わせられるか。そういった意味で、今回はモンスト・ファンを一番に考えました。
曲がライブでモンスター並に化けるのが楽しみ
「Strike」「Drop」「Mad T.Party (1865-2016)」などのエンディング採用曲は異なる時期に制作されたのだと思いますが、収録曲6曲が完成していった順番を教えて下さい。
「Strike」と「Knock On Doors In You」がほぼ同時期で最初にできました。その後に「Drop」「Mad T.Party (1865-2016)」「Rove」ができて、最後に「Monster」が完成しました。
アルバム・タイトルをQUESTにした理由は?
ゲームのモンストに色々と遊べるモードがあって、それぞれに"◯◯クエスト"って付いているんです。なので、モンストをやる人にとっては馴染み深い単語っていうのが一つあるのと、あとは第三者を交えて一から曲作りをしてアルバムを作るのが初めてだったので"冒険"的な意味も込めて付けました。
楽曲についてコメントを下さい。1曲目「Monster」は、バンドの躍動する疾走感を詰め込んだ曲として一番WHITE ASHらしいナンバーだなと。リフやメロディ含めてどのように完成させていったのでしょう?
これは『モンストグランプリ』という大会のイメージソングなんですけど、正直今作で一番苦戦しました(笑)。大会のイメージソングということで、"疾走感"や"青春感"が欲しいというオーダーに合わせてデモを3曲くらい作ったんですけど、ハマるのがなくて…そしたら音楽担当の方がこれはあくまでも僕の想像ですが、「この方向性だと、もう難しいのかもしれない」と考え、違う方向性のアプローチを提案してくれたんです。でも「イヤです!」と言って(笑)。どうしても諦めきれなくて、泣きの一回をもらって完成した曲です。なので、他の曲に比べても気合いが滲み出ています。これで“絶対決めてやるぞ!”っていう(笑)。
「Strike」は切り裂くようなギターリフに、のび太さんのエモーショナルなボーカルが映えるナンバーだなと。ヘヴィなリフのブレイクからの“遠い記憶でいつか見たScene~”のコーラスが入ったパートのキャッチーさは、新しい要素だなと。
コーラスを採り入れるのは、音楽担当の方からのアイデアでした。サビがキャッチーな分、Aメロはテンションを落とすのが普通ですが、「Aメロもコーラス入れて、サビに負けないくらい印象的にしましょう」と(笑)。こういう、自分だと思い付かないアイデアが出てくるのは、やっぱり面白かったです。あと、この曲は全編通してモンストのメロディを踏襲して作っていますが、すでにあるメロディを基に曲を仕上げていくのは初めての試みだったので、とても新鮮でした。
個人的意見ですが、「Monster」と「Strike」は曲の世界観が対になっているような印象を受けました。2曲のタイトルを繋げるとMONSTER STRIKEになりますし…。
今回の作品は、一曲ごとにコンセプトやテーマが存在しているので、この2曲を対になっているように仕掛けたのは、完全なる後付けです(笑)。なんですけど、今作におけるこの2曲の“フロントマン”的な立ち位置という点では、ワンセットという感じはありますね。
「Drop」は人気曲「Hopes Bright」を彷彿とさせるようなヘヴィなリフが心地良いナンバーだなと。『SPADE 3』以降、シンプルな曲展開とサイズでしっかりと聴かせるナンバーが増えた印象ですが、この曲も本当に無駄なものが一切削ぎ落とされています。AとBを2回、そこからブレイクという、曲そのもののポテンシャルを誤魔化せない構成でここまで響くのは、本当に凄い!
この曲は「Strike」と「Knock On Doors In You」の後に作ったものです。その2曲は“モンストのメロディを使って完成させる”という縛りがあったけど、この曲は自由に作ってOKということだったので、お言葉に甘えました(笑)。『THE DARK BLACK GROOVE』で培ったグルーヴをさらにブラッシュアップさせた感じですね。あとは2番の歌詞に“頭に響く イカしたKeith Moon〜”というフレーズがあるんですが、その後にキース・ムーンばりの手数の多いドラム・フィルが入って来るのがお気に入りです(笑)。
「Mad T.Party (1865-2016)」はWHITE ASHらしいリフがありながら、“Move down in a hurry〜”のメロから一気に開ける感じがあり、コール&レスポンスの要素もありライブ映えするナンバーだなと。
最初は、皆で歌えるパートを採り入れた“王道のロックンロール・ナンバー”だったんです。そしたら"人間とモンスターが皆正装で、真夜中にパーティーをするような曲"という、ブッとんだイメージを音楽担当の方から伝えられて、そこから一気にハチャメチャな曲に仕上がりました(笑)。不思議なコード進行、不思議なコーラスタイミング、あと不思議な曲展開。だけど一番不思議なのが、こんな変なのにめちゃくちゃキャッチーっていうことですね(笑)。
「Knock On Doors In You」は切なく美しいサビが響くナンバーで、ギターソロ以降の2本のギターの絡みからアコギが導入される部分がハイライトだなと。
これは本当にツルッとできました(笑)。多分、こういうタイプの曲が得意なんでしょう。「Strike」では、サビでモンストのメロディを使っていますが、この曲はAメロでそのメロディを使っていて。そしたら、サビがそのままポーンと出てきて、それであれよあれよという間に完成しました(笑)。この曲のサビって凄くエモいけど、そのエモさって、実はサビ裏で鳴っている山さんのギター・フレーズが淡々としているからなんです。そのアイデアを出してくれたのも音楽担当の方で。ここも、やはり“足し算”ではなく“引き算”の美学でしたね。
「Rove」は現代的なシューゲイザーのドリーミーなテイストのイントロが印象的で、のび太さんの表情豊かな歌い上げが心に響きました。
この曲はモンストアニメのエンディング・テーマとしては最後にできた曲です。"時間"とか"記憶"をテーマに壮大なロックバラードを、ということで作りました。直接的に、アニメのストーリーとリンクさせなくてもよかったので、どうせならラブソングを入れたいなと。なので、"もし自分が記憶喪失になった時、大切な人をどう思うだろう"というところから、イメージを膨らませました。あと、冒頭からいきなりクライマックスで始まり、そこから遡ってストーリーが繰り広げられる映画とかあるじゃないですか? そういう映画のよう展開のな曲にしたいなって。終わり方も含めて、最後を飾るのに相応しい曲になったと思います。
今回、楽曲ごとに音の世界観が結構異なって詰められていると思ったのですが、アンサンブルの音作りで拘った部分はありましたか?
全てに共通して言えるのは"隙間を変に埋めようとしない"ところ。それぞれが過不足なく、やるべきことをやるっていう。音数を増やそうと思えばいくらでもできるけど、あくまで僕ららしい4ピースのロック・バンドという前提のもと、アレンジを考えました。
曲の展開や歌やプレイなど、ご自身の中で本作に関して一番聴いて欲しい部分は?
今作では「Rove」が一番気に入っています。単体としてももちろん良いですが、1曲目の「Monster」から、順番に聴いていってからの「Rove」をぜひ堪能してほしいです!
今回のタイミングで「Strike」「Drop」のMVが公開されましたが、この2曲のMVはどういったイメージで?
「Strike」はまさに疾走感、開放感をイメージして、衣装もライブモードな感じで。反対に「Drop」は、純粋に曲のカッコ良さを大事にしました。“見どころ”は僕の革ジャン姿ですね(笑)。
今回、のび太さんが使用したギアーはいつもの白いストラトですか? アンプとエフェクターは何を使用しましたか?
基本はいつもの白いストラトを使い、「Monster」は赤のSGを使いました。アンプはライブでいつも使っているオレンジのOR100ヘッドとマーシャルの1960Aで、エフェクターは基本使わずに、アンプのツマミで音を作りました。
このアルバムを引っ下げて、9月25日『XFLAG PARK2016』に出演、11月からはワンマンツアーが始まります。最後にファンのメッセージと共に、ライブやツアーの抱負をお訊かせ下さい。
今年のライブモードが"ガンガンいこうぜ!"っていう感じなので、だいぶ激しいライブになると思います。あとは『Quest』自体、ライブ映えする曲が多いので、ライブで"モンスター"並に化けるのを楽しみにして欲しいです!
Interview by TAKAHIRO HOSOE
Live Photo by RIE SHIBATA
ホワイト・アッシュ
クエスト
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WHITE ASH OneMan Tour 2016 “Symphony For The Monster”
2016年11月4日(金)東京都 TSUTAYA O-EAST、2016年11月13日(日)愛知県 NAGOYA CLUB QUATTRO、2016年11月26日(土)広島県 Hiroshima CAVE-BE、2016年11月27日(日)宮城県 仙台MANCANA、2016年12月9日(金)大阪府 梅田Shangri-La、2016年12月11日(日)福岡県 DRUM Be-1