L to R:Benny Rietveld(b), Michael Shrieve(ds), Gregg Rolie(key), Carlos Santana(g), Michael Carabello(per), Neal Schon(g), Karl Perazzo(per)
カルロス・サンタナが45年前に『サンタナ V』をレコーディングしたバンドと現在一緒にプレイしている。『サンタナ W』と呼ばれる新作にはキーボーディストのグレッグ・ローリー、ギタリストのニール・ショーン、ドラマーのマイケル・シュリーヴ、パーカッショニストのマイケル・カラベロが集結した。音楽はそのサードアルバムの音楽性──キューバンダンス、シカゴロック、ジャズ──を取り込みながらも、同じ様式は繰り返してはいない。サイケデリックな味わいの「フィルモア・イースト」、ナイロン弦のニュアンスをきかせた「スエニョス」、夏の気分が溢れる1stシングル「エニウェア・ユー・ウォント・トゥ・ゴー」など、見事な楽曲が並ぶ。70年代の初期サンタナに胸を焦がされたファンから、新たにサンタナを知る若い人までが繋がることができるマジックを孕んだ新作だ!
これが新作『サンタナ W』のメイキング映像。歳を重ねてもあの頃の気持ちは変わらない様子がわかるだろう。(以下PV翻訳)
■楽曲:「エニウェア・ユー・ウォント・トゥ・ゴー」
カルロス:コンセプトはニール・ショーンからきた。あいつは私がどこに行ってもいたからね。
ニール:頭の中に、ギターの動物園を作るというアイデアがあったんだ。ビッグネームのギタリストたちを集めて、そこに誰のやりたいどんな曲もプレイできる巨大なバックバンドを付けようってね。
カルロス:それならオリジナルのメンバーを呼べばいいんじゃないかと言ったんだ。グレッグとマイケルとマイケルを呼んで、オリジナルのメンバーでやろう、そういうふうにしようってね。
ニール:俺にとってそれは朝飯前だった。いつもそうやって魔法が始まるんだ。
カルロス:何だか、今がその時だと思ったんだ。このサンタナというケミストリーに参加する時だとね。
カルロス:とても楽しいよ。たくさんの喜びがある。深い感謝の気持ちがあるからね。今はお互いを大切に思っているんだ。
グレッグ:俺たちは気心知れている。一緒に音楽で成長したようなものだからね。そこからそれぞれ違う方向に散っていったということさ。でもまた一緒になってプレイし始めて音や感化されたものなんかを聴いていると…シンプルな話になるんだ。
■楽曲:「カミナンド」
カラベロ:こういうミュージシャンのチームみたいなものは他にないよ。私は野球チームにとても似ていると思うんだ。みんなそれぞれのポジションがあって、一緒にプレイするときはポジティヴなことをやっているわけだからね。
シュリーヴ:その場で作ったものが多いんだ。過去も、いつもそうしてきたしね。生のものを求めてできたものに取り組む。何度も繰り返してやったりしないから、エネルギーがいつもとてもフレッシュなんだ。
ニール:クリックの合図でプレイし始めてピースごとに曲を作っていくと、とても手の込んだプロデュースに聞こえるかも知れないけれど、自然な流れはないだろうね。マジックも。実際には完璧でないものでも、感情や素晴らしい感触があるものなんだ。
シュリーヴ:サウンドは実に普遍的だと思う。カルロスは勿論誰とも違うサウンドを持っているしね。彼の選ぶ音はユニークなんだ。メロディの達人のようなものだよ。
■楽曲:「ブルーズ・マジック」
カラベロ:カルロスを知ったのは高校の頃だった。「ふむ、俺もああいうのを試してみたいな」と思ったよ。彼は人とは違ったからね。グレッグも人とは違ったし、マイケル・シュリーヴも人とは違った。サンタナはそういうことでも知られていたんだ。他とは違うフレーバーを音楽にもたらしたんだね。
グレッグ:ラジオのヒットを出さないといけないとか、そういう問題はない。だからもっと冒険できる。カルロスはそれがとても上手なんだ。
■楽曲:「ラヴ・メイクス・ザ・ワールド・ゴー・ラウンド」
ロナルド:この曲はスマッシュ・ヒットになるよ。考えていたんだ。もしこの曲に何かを加えることができて歌詞のよさを本格的に引き出すことができたら、どんなに重要なことになるだろうとね。特に今のこのご時世では。この曲はいつまでも色褪せない雰囲気のある曲になる気がするんだ。
カール:音楽は隠れた言語なんだ。世界中が理解することのできる言語だね。この一部であるという、それだけで真のインスピレーションを与えられるんだ。
■演奏
ベニー:これはガレージ・バンドみたいなものだね。ガレージにいる仲間たちの集まり。ただし別の惑星からやって来た、ね。
カルロス:サンタナは吠えるライオンのような轟きをもたらす。それはカリスマ性とかそういうこと以上のものがある。
グレッグ:この男たちが集まるとスペシャルなことができるんだ。他の誰にもできない演奏がね。
カルロス:人々の注目を彼らが重要だと思い込んでいたことから反らす。そうするとサウンドが共鳴して、人生で本当に必要なのは何かを感じさせてくれるんだ。人生で大切なのは自分で自分の価値を認めることだ。こういう視点でね。自分の心は光に満ちている。自分の心は英知に満ちている。自分の心は美しさと優雅さに満ちているということさ。
■5:57より
ニール:これは俺にとって本当に特別で大切なプロジェクトなんだ。大昔に一度経験したことがあまりに素晴らしくて、人生で2度も起こるなんて願うか想像するしかあり得なかったからね。
カルロス:心の中にあった忘れられた曲が、外に出ようとしているのを思い出させてくれるものは、何でもとても気分がいいものさ。
グレッグ:音楽はユニークでいて聴けば分かる。真のサンタナ・ファンなら感動するだろうね。
カルロス:心の準備をしておいてくれ。あなたが(聴くことによって)仲間入りをするものは…この上なく心地良いものなんだ。
サンタナ W ソニーミュージック 4月15日 CD SICP-30931 2,500円(税抜)
2016年6月号(5/2発売)でインタビュー掲載