京都出身の5人組バンド、LOCAL CONNECTのミニアルバム『7RAILS』が、4月6日に発売された。昨年リリースの1stミニアルバム『過去ツナグ未来』は、フロントマンのISATOとDaikiによる圧倒的なツインボーカルが冴えまくり、聴く者の心を強く揺さぶるキャッチーでカラフルな楽曲を内包。新人バンドとは思えない曲のスケール感に、個人的に強い感銘を受けた…。
思わず口ずさみたくなるメロディアスな曲も彼らの大きな魅力だが、どんな会場でも常に全力投球で熱い想いをぶつける圧巻のライブ・パフォーマンスも同じ位に素晴らしい! “魅力的な楽曲を最高なライブでオーディエンスに届ける”…日進月歩な今の音楽シーンで、そんな当たり前なスタンダードを自然体でやってのけるLOCAL CONNECTは、ロックの、いや音楽の“本当の魅力”を強く感じさせてくれる数少ないバンドだと思う。
新作『7RAILS』は、前作で打ち出した力強いツインボーカルとキャッチーな楽曲はそのままに、よりロックでエッジの効いた彼ららしいバンド・サウンドを確立した“マスターピース”と言える充実作だ。「Gold」「ねぇ ねぇ」など、どの楽曲も躍動感と独自の世界観に満ちているが、本作で最も衝撃だったのは最後の「piece」の完成度である。ギターの印象的なアルペジオから、さらにパワーアップしたISATOとDaikiのツインボーカルが描き出す、余りにも美しく感動的な曲の音風景…この曲は、きっと今後の彼らにとって重要な曲になるに違いない! バンドとしての明確な方向性を打ち出した傑作『7RAILS』を完成させた、LOCAL CONNECTのISATO(vo)、Daiki(vo&g)、まーきー(g)、しゅうま(b)、Natsuki(ds)が、それぞれの音楽ルーツ、バンド結成の経緯、新作『7RAILS』の魅力まで、たっぷりと語ってくれた!
僕らはいつも一緒に歌っていた
音楽に興味を持ったきっかけとは?
ISATO:姉の影響で小さい頃から歌うことに興味を持ち、SPEEDやMISIAさんをカラオケで歌っていました。初期のEXILEや久保田利伸さんや清水翔太さんといった、R&B系のシンガーが好きでした。僕とDaikiは中学が一緒で、その頃から一緒にハモって歌っていましたね。
Daiki:父と兄がアコギを弾いたので、その影響で9歳からアコギを始めました。僕も歌うのが好きで、ギターの弾き語りが楽しくて、当時はゆずをよく歌っていました。高校の時は、スティーヴィー・ワンダーとかR&Bにハマっていました。曲を書き始めたのは小6の頃です。大学の時に英文学を専攻していたのもあり、曲全体を通したストーリー性は特に意識します。ギタリストでは、スティーヴィー・レイ・ヴォーンが好きでよく弾いていました。
しゅうま:兄もベーシストで、中学2年位の時に「今からベース弾いておくと高校に入ったら良い感じになれるよ!」と言われて始めました。兄の影響でGLAYやL’Arc~en~Cielとかを聴いていて、高校の時に皆に出会ってから色々と聴くようになりました。大好きなベーシストはIKUOさんです。
まーきー:家にあった父のモーリスのアコギを弾いたのが始まりです。中学の時はX JAPANのhideさんの「ROCKET DIVE」をアコギで弾いていました。僕としゅうまは中学が一緒で、同時期に楽器を始めました。Natsukiを除いた4人は同じ高校だったんです。僕は、高校の時にしゅうまの兄とバンドを始めて、リンキンパークとかのラウド/ニューメタル系が好きになり、その後音楽専門学校に入学してからは、レッド・ホット・チリペッパーズのジョン・フルシアンテにハマりました。
Natsuki:小学生の頃、隣中学の吹奏楽部が学校に演奏しに来ていて、その時ドラムに興味を持ったんです。その後、音楽教室で習い始めたんですが、今もその先生にレッスンを受けています。小学校の時に基礎は大体習い、中学校で少し飽きて…中3の文化祭きっかけでバンドを始めた時に、レッスンを再開しました。ドラマーだと河村智康さんがメチャクチャ好きです。
LOCAL CONNECTの母体は、高校の同級生だった皆さんが2006年に結成したバンドだそうですね。
Daiki:文化祭で有志の発表会があって、それに出演するために同学年で楽器ができる奴を集め、バンドを結成したんです。結成当時は、オレンジレンジやHYをコピーしていました。当時は、もう1人身長180cmの大柄なボーカルがいて、トリオ・ボーカルだったんです。当時、まーきーとしゅうまは校外でもバンドを組んでいたけど、僕とISATOはまだそこまで積極的ではなくて、ただ一緒に歌っているのが楽しい…そんな時期でした。それから高校を卒業し、それぞれ1年位バラバラに活動していた19歳の時、まーきーが在籍していたバンドが解散したんです。そのタイミングでまた皆で集まって、オリジナル曲を演奏するようになりました。当時は、結構ONE OK ROCKみたいな日本のエモに影響を受けていて、そういう方向性の曲をやっていました。
たしかに、変拍子のギターリフが印象的な「Paradise Lost」は他の楽曲と比べて、エモやラウド系な激しさを押し出したナンバーだと思いました。
Daiki:当時はまだ音楽の“核”を見出せなくて、カッコ良いと思うものを曲に吐き出すことを繰り返していました。この曲の激しさと、「コスモループ」や「ツギノセカイヘ」みたいな“多くの人に届く歌”を押し出した、曲の二面性は自分達ならではの“武器”だと思っています。
なるほど。
Daiki:『過去ツナグ未来』では「Paradise Lost」が1番古い曲で、これは11年に書いた曲。このアルバム7曲中4曲は、この時に書いた曲です。「Paradise Lost」「フォルメイカー」「コスモループ」「ツギノセカイへ」がそうです。他の3曲はLOCAL CONNECTとして作った曲で、「フォルメイカー」は14年位に完成しました。このアルバムには“過去とこれから先の僕らを繋ぐ曲”が入っています。そういう意味を込めて、このアルバムをこのタイトルにしました。
まーきー:「Paradise Lost」は、ずっとライブでやってきた大事な曲。この頃、より良いバンドになるためにもっと芯がないとダメだと思うようになり、方向性や音楽性について色々と話し合いを重ねました。
ISATO:そう考えた中で、僕とDaikiのツインボーカルのハーモニーと、ガシッとしたバンド・サウンドがバンドの武器なると思ったんです。
Daiki:中学時代から、僕とISATOはずっと一緒にハモっていた。ギター1本だけ持って、友達の家に「俺らの歌聴いてや!」と歌いに行ったし(笑)。ハモりの部分はもう肌感覚でわかるんです。
普段の曲作りとアレンジは?
Daiki:基本的に僕が書いて曲をデータで皆に送り、それぞれのパートを皆に考えてもらって形にします。ドラムのビートは凄く重要だけど、僕はドラムに無知なので(笑) 、ビートをまとめる時はNatsukiの力を借ります。メロディとバッキング、ドラムが入ったデモを完成させてから、ギターやベースのパートを固めていきます。『過去ツナグ未来』では、歌がしっかり引き立つこと、楽器3人の音が鮮明に聴こえることを意識しました。
バンド名にはどういう意味が?
Daiki:田舎で育った僕らが、地方、都市、世界といった様々な“ローカルを結ぶ”という意味を込めて、LOCAL CONNECTにしました。このバンド名になった15年、今のドラマーNatsukiが加入したんです。彼は、前のバンドの時から僕らのファンで、一緒に対バンをしたことのある地元の後輩なんです。
Natsuki:Daikiさん達に「このバンドは絶対ホールクラスになれるし、その先に行くはずだから頑張って下さい!」と言う位にファンでした(笑)。ドラムはバンドの要だけど、僕は敢えて自分の存在感を消すことで、歌や曲がより活きれば良いと思っています。その結果、このバンドの演奏が1つになって、お客さんに届けば良いと思うので…。
Daiki:ちゃんとした技術を持ち、献身的なプレイができるのがNatsukiの良いところ。彼が加入して、そのドラムでより曲が活きるようになりました。
ISATOとDaikiの歌は人を泣かせる歌
楽曲と同じ位に素晴らしいのが、常に全力投球でエネルギッシュなライブ・パフォーマンスです。普段、ライブに対してどんな意気込みで挑んでいますか?
Daiki:ありがとうございます。ライブの僕らのそういう“色”を作ってくれたのはISATOの存在が大きいです。彼の観客に対するそういう姿勢が、今のLOCAL CONNECTのライブを象徴するものだと思うので…。
ISATO:昔から人の繋がりを大事にする泥臭い部分があって、呑みの席でも熱苦しい話をしちゃうし(笑)…もう1ライブ、1ライブ、全力でお客さんに想いをぶつけたい! 人との出逢いは本当に一期一会だけど、振り切れるほどライブで自分達を出せたら、来てくれた何人かはグッと来てくれるかもしれない。僕が好きだったバンドは、そういう“何か”を伝えられるんです。昔から歌が好きで、誰にも負けない自信がある! でも、単にボーカルが良いというだけでなく、MCを通して自分の想いを伝えることも同じ位に大事。そんな自分の気持ちを尊重してくれるメンバーだし、当たり前だけど中々できない“スタンダードな部分”をしっかりやりたいんです。キラキラじゃなく、ギラギラな感じで!
まーきー:ISATOとDaikiの歌は“人を泣かせる歌”なんです。僕らは、それを最高の形でお客さんに届けたい。ISATOは、よくMCで「あなたの心に触れにいきます!」と言うけど、本当にそうだから。歌が心に響くんです! 僕はハードロックが大好きなので、そのエッジ感をバンドで出しながら、最高のツインボーカルがガツンと出るライブをしていきたいです。
バンドの個性を確立させた『7RAILS』
16年2月には次世代を担う実力派アーティストが集結した『Coming Next 2016』に出演し、ホール規模の演奏でもその想いがしっかりオーディエンスに伝わっていましたね。今年になってライブがよりスケールアップしていますし、オーディエンスの反応もさらに良くなっているなと。
Daiki:もっと純粋にライブを楽しめるようになりました。そういう気持ちがお客さんに伝わるようになったから、より盛り上がるようになったのかも。ISATOはどう思う?
ISATO:前のバンドを長いことやってきて、去年にバンド名がLOCAL CONNECTになった時、自分の中でまだ踏ん切りが付かない部分はあったというか…でも、そこからNatsukiが加入し、メジャー・デビューして、沢山ライブをして、色々と話し合いながらやっと“LOCAL CONNECTらしさ”がわかってきた。全員が同じ目線で、良い意味で余裕を持ってライブできるようになっている。そういうものが、この16年に成果として現れてきています。目指すゴールはずっと先にあるけど、着実に成長して近付けているなと…。
まーきー:全員がプロ意識を持って、ライブやレコーディングに挑むようになった。Natsukiが加入して1年になるけど、この1年間で皆が彼のプレイをより理解できるようになったし、持ち味もわかってきた。リズムの噛み合いも良くなったし、バンドとして一枚岩になってきましたね。
Natsuki:加入してからこの1年で、やっとメンバーとして音楽面で対等な関係になれた気がします。去年はLOCAL CONNECTのドラマーになるのに必死で、一生懸命追っかけていた。でも、そういう気持ちで演奏してはダメなんです。ちゃんと自分のビートで皆を引っ張れないと、バンドの屋台骨にはなれないから…そういう意識で皆と1年過ごしてきて、やっと演奏で向き合えるようになりました。
2ndミニアルバム『7RAILS』について訊かせて下さい。「Gold」や「ねぇ ねぇ」のように、どの曲も演奏の中にメンバーの“個性”がより出てきたなと。
Daiki:メロディと歌詞に全力を注ぐのは変わらずですが、今回はボーカル2人を除いた3人の演奏を活かせる曲を作りたかった。そのために、プロデューサーのR_MEN_SOULさんから色々なアドバイスをもらいました。曲作りの段階から話し合い、アレンジ段階から持ち味が出せるよう完成させたので、バンドとしてそれぞれの個性が出てきたなと。前作『過去ツナグ未来』が“僕らの未来と過去を繋ぐベスト”なら、今回は“今の全てを出し切った会心作”ですね。『過去ツナグ未来』は若々しいフレッシュさ全開だったけど、『7RAILS』はその力強さもありながら、より多くの人に聴いてもらえるアルバムになった。それがライブにも繋がるはずだし、凄く自信があります! ギタリストのまーきーは、本当に自分の全てを演奏につぎ込んでいましたね。
まーきー:がんばって考え過ぎて、肌がボツボツになりそうでした(笑)。
Daiki:良い曲を作るためにジャッジはかなりジビアで、彼が100個くらいアイデアを用意しても、話し合いの中で結構ボツになったんです。でも、そこから一切めげずに「こんなのはどう? これもできるよ!」と、本当に一生懸命だった。そのストイックさは“こいつがバンドにいて本当に良かった!”と誇らしく思えました。
Daikiさんとまーきーさんのギター2本だけで、世界観が成立する位に互いのフレーズがより濃くなっていますね。
まーきー:僕に任せてくれるパートは自由に考えられたんで、その1フレーズでOKという位に吟味し抜きました。
今完成させて手応えはいかがですか?
ISATO:前作はガムシャラにやっても、自分の感覚が付いていけない位に制作のテンポが早かった…自分のことで精一杯で”まーきーはどんなギター弾いているんだろう?”とか、他のメンバーやバンド・サウンドまであまり意識が回らなかったから。でも、今回は2作目ということもあり、それまでの経験も活きたので、余裕を持ってレコーディングに挑めました。自分の歌だけじゃなく、リズム隊がどうやってビートを入れているのか? ギターがどんなアプローチをしてくるのか? レコーディングで、メンバーが曲に命を吹き込んでいく過程をしっかりと把握できました。
お二人のボーカルは今のシーンでも群を抜いていると思いますが、「沈丁花」のように歌詞の世界観を伝える歌の表現力が、さらに増しましたね。
ISATO:曲のメロディや歌詞に関して伝えたいイメージが湧いて来て、それをただ純粋に表現したかった。どの曲も全力で歌ったけど、録り終えた時に“間違いない!”と思ったら、プロデューサーさんも「今の最高だった!」と言ってくれたし、皆が同じ気持ちで向き合えた。前作は僕とDaikiで一緒に歌録りできたけど、今回はレコーディング時にDaikiがノロウィルスに感染してしまって、一人で歌録りしなければならなかったんです。でも、事前にDaikiがそれぞれの曲をどういう想いで書いたか、どんなイメージがあるかを凄く具体的に教えてくれたので、曲の世界観はかなり掴み易かった。
Daiki:曲はプリプロ段階で完璧にしたくて、ISATOに「ここはこういう風に歌って」と、念密に打ち合わせながらデモ録りをしていったので、それが大きかったなと。
ISATO:歌のコンビネーションをみっちり固められたよね。互いを尊重した上で譲り合いもあったけど、本当に徹底的にやれたから。
Daikiさんのスタンスが変化したなと。前回もお二人のハーモニーは素晴らしかったですが、今回はDaikiさんがISATOさんの魅力を活かすために、敢えて“引いている部分”があるというか…そういう部分があることでツインボーカルがさらに強力になったし、ISATOさんの個性がより明確に出ていると感じました。
Daiki:それはありますね。今回“ISATOがどれだけ気持ち良く歌えるか?”をかなり意識したので。ハーモニーは大事だけど、歌い分け部分が増えることで、曲にさらなる個性が生まれると思ったんです。
まーきーさんとDaikiさんとのギターパートの比重は?
Daiki:主に、上モノはまーきーに任せて、バッキングは僕が弾きました。
なるほど。そういう部分もあって、ライブで観ていたバンド演奏に音が近付いている気がしました。
Daiki:このバンドでギターを弾き歌う自分、そのイメージはしっかりと描けましたね。ISATOが前に出る時は自分の声で、バンドの皆が出る時は自分のギターでバンドを支えたい。それが自分の“役目”だと思うので。もし曲にそういう部分が滲み出ていて、何か感じてくれたら嬉しいです!
「沈丁花」や「ねぇ ねぇ」は、様々なリズム展開がありますが、リズム隊のしゅうまさんとNatsukiさんのコンビネーションは見事ですね。
しゅうま:“今ここを出したい!”という、それぞれのキャラクターがわかりましたから。Natsukiとのコンビネーションはわかってきたし。僕の課題は“Daikiが考えたベースラインをいかに自分らしく弾くか?”でした。考えずにデモ通りのプレイをするとDaikiが怒るので(笑)。
Daiki:弾かされているだけじゃ必要ないからね(笑)。僕がデモで入れたベースは、LOCAL CONNECTのベーシストのプレイじゃない。これは、まーきーにもNatsukiにも言えるけど、それをしっかり消化して、自分らしく弾いて欲しかったんです。
しゅうま:その意気込みを感じたから、絶対にそれに応えたかった。彼の期待値を上回ると、自然と曲のクオリティも上がりますしね。そういう相乗効果で、全員がベストを上回るテイクを残せたなと。
Natsuki:前回は既に完成していたドラムパートをプレイしたけど、今回は一からパートを考えられた。Daikiさんが書いた曲のイメージを自分なりに考えて、それを確認して形にしていきました。今回のレコーディングを通して、その先のライブでも自分らしくLOCAL CONNECTのドラムを叩きたいから、レコーディングからミキシングまでDaikiさんの側にいて、イメージを掴もうとしました。
音の質感やグルーヴを含め、よりロック色を増したなと。『過去ツナグ未来』を聴いた時に“極上のメロディを歌う”というのは認識していましたが、まだ把握できなかった部分もあったんです。でも、今回の曲はこのバンドならではの音楽性が非常に明確になっている…そこが大きな進化だなと。
Daiki:プロデューサーさんと「いくら良いメロディの良い歌を歌っても、バンドがそれに寄り添っただけでは、普通の良い曲になってしまう。そこをどう変えていくかが重要なテーマだね」と話し合いました。歌が良いのはもう最低条件で、曲にいかにこのバンドらしい“エッジ”を加えるか? それが大きなテーマでした。バラードの場合、通常だともっとシンプルでも良いはずなんです。でも、敢えてドラムの手数をもっと入れて躍動感を出す…そんな試行錯誤を繰り返しました。
まーきー:Natsukiは最初「もっと入れても良いんですか?」と言っていました(笑)。
Daiki:一生懸命に作った“皆に届けたい曲”を、どうやったらもっと多くの人に聴いてもらえるか? それを考えた時に“えっ!?”と思える意外性というか、他には無い“僕ららしいエッジ感”を宿すべきだなと。良い曲にするために意見のぶつかり合いもあったけど、それを経て明確に“見えたもの”があった。曲全体の方向性を考えた時、まーきーが考えたイントロにピンと来なくて、「ごめん、あまり上手くハマると思えない」と言ったこともありましたから。
まーきー:一生懸命に考えて来て、バン!とひっくり返されると当然ヘコみます(笑)。でも“Daikiがそう言うならそれは間違ってないな”という、信頼感というか受け入れる気持ちもあって。やはり話し合いが大事だから。
Daiki:「もっとグッと来るやつが欲しい」とか、具体的には言えなかったんですけどね(笑)。でもその意見をちゃんと聞いて、彼は次回に想像以上のフレーズを持って来た。Natsukiの場合は、セッション・ミュージシャン的な“縁の下でそっと支えたい”という想いがあったはず。でも、敢えて「もうちょっと出して良いよ。ここはNatsukiの存在感が欲しいから」と伝えましたし、僕らのツインボーカルも徹底的に話し合いました。
曲にとても個性がありますね。たとえば「ねぇ ねぇ」の激しくも少し切ない感じ。胸が高鳴って夏祭りに行き、それが終わって余韻を残して家に帰って来たような…そんな独特な世界観に凄く惹かれました。
Daiki:ライブで僕ららしい振り切った演奏をイメージした曲です。今までにはない“踊れる曲”がテーマで、歌詞は廃れていく男の話なんですけど(笑)、もう曲でお客さんが自由に踊って欲しい! クラップを入れて皆で合わせる部分もあるし。でも、一番調子に乗って欲しかったのはギターパート。もう良い意味で、邪魔な位に“存在感”が飛び出ているなと。
まーきー:他の6曲と違ったものにしたくて。プロデューサーさんとエンジニアさんがギタリストなので、僕に無いものも吸収した上でフレーズを作りたかった。だから、二人に「やりたい放題したいので、知恵を貸してください!」とお願いして、アイデアをまとめあげていきました。このギターに合わせて、ISATOのボーカルもハッチャケているよね!
ISATO:ボーカルもメッチャ調子に乗れた! 前のバンドでは、こういうイメージの曲があって。曲の雰囲気を大事にノセていく感じ。こういう感じは好きなので楽しかったです。
Daiki:以前はやっていたけど、LOCAL CONNECTとしては新しいですね。そういった側面をやっと出せた曲です。
ツインボーカルの表現力がさらに増しているのが「おやすみ」。このハーモニーの混ざり合いと、ソロでの歌い上げのバランスは実に秀逸です!
Daiki:僕とISATOは“ISATO & Daiki from LOCAL CONNECT”として、たまに2人だけでライブするんです。この曲は、そのライブのために書いた曲で、2人の声と1本のギターだけで世界が完結しています。ちょっとベタなラブソングですが(笑)、弾き語りだしこういうのもアリかなって。おっしゃる通りに“2人の歌ありきな曲”なので、それをプロデューサーさんと相談して、ロック・バンドとしてやる曲に発展させました。
「内緒」はグルーヴィーかつダンサブルでアダルトな感じがします。
Daiki:僕もISATOもR&Bが大好きなので、ノリノリで歌える“ザ・アルバム曲”が欲しいなと。この曲では、しゅうまとNatsukiのリズム隊に調子に乗って欲しかった。「ねぇ ねぇ」でまーきーのキャラが存分に出たし、2人が調子に乗るのは“ここしかない!”と。
Natsuki:ブラックミュージックが好きだから、叩き甲斐がありました。決して難しいことはしていないけど、1音1音のグルーヴをしっかりと出せるように心がけましたね。
Daiki:この曲のドラムは本当に言うこと無しです。しゅうまも、その土台をさらにしっかりしたものに磨き上げてくれました。
この曲はコーラスが2声ではなく、3声で展開されているような?
Daiki:ええ、アース・ウィンド・アンド・ファイアーの「セプテンバー」みたいな、広がりのあるコーラスが欲しくて。ボトムがグルーヴィーなので、ちょっと厚いコーラスにして、歌も負けないようにしたいなと。パートごとに、僕とISATOどちらかの声をもう1パート入れています。
「コトバ と ココロ」は、前作の「コスモループ」を彷彿とさせるようで、実にLOCAL CONNECTらしいナンバーですね。
Daiki:この曲で「そうそう、これが欲しかった!」と思って頂ければ(笑)。この曲が6曲目にいるのは、そういう意図があってですから。『7RAILS』のテイストが前作とは違うことは大事だけど、全く違う感じにしたくなくて…僕らの“原点”と言えるテイスト。明るく、背中を押す感じですね。
曲作りはいつ頃から?
Daiki:去年の9月〜10月です。前作をリリースして、ツアーが落ち着いてきた位の頃で、“あっ、そろそろ曲を作らないと!”と書き始めました。吟味して書き上げたので、候補曲も12曲位しかない状態でした。
全ての曲は「piece」に辿り着くための線路
本作は、今の皆さんの“成長”を証明する魅力的なアルバムになりました。特に、アコギをフューチャーした「piece」は、非常にスケール感が大きく、新たな可能性を感じます。個人的に、ここ数年で国内外の色々なバンドを聴いた中でも“ベストな1曲”だなと。
Daiki:「piece」は、もう単にアルバム“最後の曲”という括りではなくて、この曲に辿り着くまでに他の6曲が存在する…それが過言じゃない位に力を入れました。今回、歌を活かしてバンドらしい曲を書きたかったけど、そういう水準を更に超えて、これがLOCAL CONNECTだ!と”世界に向けてアピールできる曲“を作りたかった。MVをyou tubeにアップすれば世界の皆が聴いてくれますし、そういうものを絶対に作りたかったんです。
贔屓目に評価せずとも、この曲は本当に素晴らしいですよ! アコギとエレキのイントロから、ISATOさんの「Just a little more〜」という歌詞が始まって、次の「I’m gonna believe it〜」でDaikiさんにバトンタッチし、2人で「かけがえないこの瞬間を〜」と歌い、そこからバンドが入っていく…この曲の美しい情景は、皆さんにとって今後もきっと重要なものになる気がします。
Daiki:この曲のMVを撮影するために、伊豆大島の砂漠みたいな平地でロケをしたんです。曲の最後のシーンでISATOが両手を大きく広げるんですが、彼がああやって歌える曲を書くのは、ずっと僕のテーマだった。あの光景はドハマりして、本当に絵になったよね!
ISATO:うん、この曲はDaikiからデモが送られて来た時、自分でも上手く反応できなかった。もう、どんなコメントを返せばいいかわからなかった(笑)。レコーディングして完成した時も鳥肌が止まらなかったですね。
Daiki:バンドの連絡はLINEでしていて、他の曲だと反応があったけど、「piece」だけは誰もリアクションしてくれなかったんです。メッセージを送って何日経っても、ずっと“既読4”という表示だけ。もう“えー!なんでなん?”と、ずっと心の中で叫んでいました(笑)。
まーきー:なんかコメント返せなかったね。でも、聴いて直ぐ“おっしゃ!”と心でガッツポーズしました。ポーカーで“最強カード”を引いて、リアクションに困る感じに似ているかも(笑)。
Daiki:だから、凄い手応え感じているのは俺だけなのかな?と不安になり、皆が車にいる時ISATOに「であの曲どうだった?」と聞いたんです。そしたら、「あのな、あれメッチャ良い!」って(笑)。そこで矢継ぎ早に、皆「俺も、俺も!」って言ってくれたから、本当に良い曲を書いた時って、レスポンスが無いものなのだなとわかりました。
曲を完成させるのは大変でしたか?
Daiki:意外にシュッとできました。最初にアコギ弾き語りで作って、“このアルペジオ良いな”と思いメロディを入れたら、そこに完璧にハマった。で、歌詞の“Just a little more”が直ぐに出てきたという。1曲書き上げた時に、僕が想う“平和”について語りたいなと思い、それから1〜2日で完成しました。
まーきー:天のお告げみたいな感じだね!
Daiki:うん、メロディと歌詞がリンクして生まれたのは「コスモループ」以来だった。長くなったけど、この「piece」は本当に小さい子供から、80歳位のおじいちゃんおばあちゃんまで、皆に聴いて欲しいと胸を張って言える曲です!
責任あるバトンを託されて、ISATOさんはボーカリストとしてどう思いました?
ISATO:僕のレスポンスが遅かったのも、デモを渡された時に使命感に燃える曲って、中々なかったからなんです。でも、曲を聴き返して一日中考えたら、もうバババババっと浮かんで来た。バンド経験は僕が一番浅いので、前作のツアーでも色々カッコ良いバンドを観て刺激を受けて、そこからどう歌うべきか悩む時期もあった…でも、この曲に“俺もこういう曲を堂々と歌っていいんだ!”と背中を押された気がしたんです。歌いたいように歌って良いし、それをやれるのがこのバンドなんだ…そう思えるようになったら、エネルギーが凄く湧いて来た。そこから、改めて『7 RAILS』の曲を聴き返したら、どの曲もさらにイメージが引き立ってきた。この曲が支柱にあるから、曲順決めも、意見交換も皆が同じ方向を見られたんだなと。
7RAILSというタイトルの意味は?
Daiki:前作もガムシャラな7曲だったけど、今回の僕らの歌詞や曲調は様々な視点を持っている。この“色々な視点”がキーになっていて、人それぞれ色々な道があっても、結局は僕らと繋がっている。電車の線路は駅と駅で繋がっているので“皆に繋がる7本の線路”という意味でこのタイトルにしました。
普段使っている機材を教えて下さい。
Daiki:ギターはヴァンザントのTLシンラインと、プロデューサーのR_MEN_SOULさんから借りたレスポールです。アンプはヒュース・アンド・ケトナーやメサブギーを使いました。
まーきー:シェクター・ギターで、アンプはメサブギーのマークIIです。
しゅうま:今使っているのは、サゴのアクテイヴ・タイプでJBです。
Natsuki:ドラム・キットはレンタルで、シンバルはアミディアを使っています。
アルバムの聴きどころは?
まーきー:前作は、2人の強力なボーカルが前に出ていました。今回は、皆で話し合いながら、歌に負けないロックな楽器感が出せた。そこを聴いてほしいです。他の同世代バンドに負けない“個性”を出したからアレンジも練ったし、曲の世界観が色濃くなったなと。7曲愛情を込めてギター弾いたし、聴いて欲しいのは全部ですが(笑)、強いて言えば「ねぇ ねぇ」かな。実は“オススメの聴き方”があるんです。最初はボーカルだけ薄っすら意識して聴き、2周目は楽器隊を聴く。そして、最後にボーカルを聴くと、もう自然に涙が出てきます。僕自身“楽器隊はメッチャがんばったけど、ボーカルはどんだけなんだ?”と、後で歌を聴き返したんです。そしたら、やっぱり無茶苦茶に進化している! なので、また次回作でボーカルに挑もうと思いました(笑)。
Daiki:前作以上のものが出せたし、そんな曲達をライブでやって早くお客さんの反応を見たい…そんなアルバムです。会場に来たら絶対に泣かせる自信があるので、泣いてほしいです! 僕らの原点でありながら、本当に自然な歌詞が書けたから。僕は「コトバ と ココロ」が一番好きです。
ISATO:楽器隊の努力と挑戦の先に到達できた音だなと。『7RAILS』が完成して初めて聴いてから、もう何度も繰り返して聴きました。楽器隊が進化して、曲に凄い躍動感とライブ感が生まれたから、ノリも気持ち良いですし、この5人だけの音を感じて欲しい。音楽好きな人も、バンドマンもきっと気に入ってくれると思います。
しゅうま:僕は、逆で“こいつらの歌は本当に凄い!”と思いました(笑)。高校の頃、初めて歌を聴いた時の衝撃から、変わらずに進化して今は本当に頼り甲斐があります。
Natsuki:皆で必死に振り絞って、意見交換して。ミックスやマスタリングも話し合って、作り込めた。そうやったことで、まだ伸び代があるのを感じたし、楽しみになる作品。ドラムプレイでは「沈丁花」が特に好きです。僕がこのバンドを観てファンになった時の衝撃が、デモの状態から宿っていて。それを自分なりに上手出せたので。
皆さんの目標は“大阪城ホール・ワンマン・ソールド”だそうですが、今後どんなバンドになっていきたいか?
ISATO:もっと大きなステージに立てるようにがんばりたいけど、今ライブハウスでやっている人と人との“距離感”が、いつまでも離れない人懐っこいバンドになりたい。そういう曲とライブを、これからも一生懸命にやっていきたいです!
Interview by TAKAHIRO HOSOE
ローカルコネクト
セブンレイルズ
バップ CD VPCC-81868
発売中 1,800円(税込)