80年代の米国ロックを切り開いたブルース・スプリングスティーン。米国でチャート1位を獲得した『ザ・リバー』への注目は日本にも大きな影響を及ぼし、数多くのフォロワーを生んだ。その発売35年を記念して『ザ・リバー・ボックス』が発売。このアルバムを巡るカバーストーリーでは、当時のロックシーンに大きな衝撃を与えたことのわかるアーカイブ・インタビュー、『ザ・リバー』の全貌がわかるボックスの解説、そしてボスのギター機材レビューを掲載。
ボスにとって初の全米1位を獲得した『ザ・リバー』は、1979年に完成した1枚のアルバム(『The Ties That Bind』)をリリースせず、さらにもう1枚分のアルバムを完成させ、2枚組みというボリュームで『ザ・リバー』として発売された。そこには“ロックンロール”と“バラード”という2面性が内包され、そのエピソードは日本でも話題になった。ボスは当時のインタビューで、この2枚についてこう語っている。
「『ザ・リバー』を作ったとき、俺は世の中がパラドックスそのものだという事実を受け入れようとした。世の中そういうものなんだと。だから、パラドックスをどうにかする唯一の方法はそれと共生することなんだ」
「今回はそれをやりたかった。特に相反する感情を抱えて生きたいと思っていた。というのも、俺はいつもなんだかおかしな形で『闇に吠える街』的なマテリアルに傾倒しがちなんだ。1979年にアルバムを出さなかったのは、それがそこにあるっていうリアルな感じがしなかったから。それは、物事の本質とか物事の仕組についてのより大きな像を捉えられるような何かだって感じがしていたんだ。だから、そういうものを抱えて生きることを身につけようとしてみたのさ」
◎
こちらは1980年のアリゾナ公演での「表通りに飛び出して」。今聴くと80年代ロックンロールの原型にも思える。
同じくアリゾナ公演での「ザ・リバー」。ロックバラードとはまさに!
そしてこちらが『ザ・リバー・ボックス』の海外トレイラーだ。
○CD1+2:『ザ・リバー』(2枚組デジタルリマスター)
○CD3:『ザ・リバー・シングル・アルバム』(幻の未発表作)
○CD4:『ザ・リバー・アウトテイクス』(未収録曲22曲)
○DVD1:『ザ・メイキング・オブ・ザ・リバー:ザ・タイズ・ザット・バインド』(60分ドキュメンタリー)
○DVD2+3:『ザ・リバー・ツアー・ライヴ1980』(未発表ライヴ映像)
ザ・リバー・ボックス ソニーミュージック 4CD+2BD SICP-4606〜11 20,000円(税抜) 4CD+3DVD SICP-4612〜18 18,000円(税抜)
2016年3月号(2/2発売)でカバーストーリー掲載