J「I know」
LUNA SEAのベーシストとして精力的に駆け抜けたこの2年だが、並行して制作が進められていたのがJの通算10枚目となるソロアルバム『eternal flames』である。今作よりJ BANDにmasasucks(the HIATUS/FULLSCRATCH)が復帰し、溝口和紀(ヌンチャク)との新たなツインギターアンサンブルがひとつの聴きどころだ。ドラマーも盟友スコット・ギャレットともに、前作に続き有松益男も参加。Jファミリーのサポートともに作り上げられたパワフルでタフなサウンドは、アビイロード・スタジオのマスタリングにより仕上げられた。
『FREEDOM No.9』から2年の歳月を経て届けられたJの最新ソロアルバム『eternal flames』は、“9番目の自由から 飛び出した原理”と歌われる「Verity」で始まる。Jならではのホットなメッセージ性が宿った楽曲は、光を目指して前進していく僕らの現状と未来を描き出す。その歌声も一層エモーショナルで激しさと柔らかさとの両極端で、聴き手の胸に刻まれていくのだ。そしてより余計なものを削ぎ落してソリッドながらも実にカラフル、ドラマティックなバンドサウンドが繰り広げられる。一貫性を持ちながらも新たなタームに入ったことを感じさせる、Jならではのネクストステップと言える1枚だ。
強烈なリフワークとリズムアンサンブルが爽快感たっぷりの「wall」では、Jのベースと有松のドラムがまるで生き物のような躍動感だ。この一層のドライブ感を具現化している様は「Rollin’」にも共通する。 一方、シンプルに8分ルート弾きをしつつも、スコットの鋼のようなドラミングが合わさり、Jにしか出せない存在感を醸し出しているのが「never gonna die」。この辺りはまさにベーシストJの真骨頂ではないか。 「dream on」もゴリゴリなリフワーク、エンディングの自由度のあるセッション感も聴きどころ。そしてソングライティング面では「I Know」「Jayne」などで相変わらず絶好調のメロディメーカーとしての資質も見せる。「今回のアルバムができあがったときの達成感は大きかった」とはJ談だが、これはリスナーも共有できる部分ではないか。とにかく聴き応えたっぷりの1枚に仕上がっている。10月2日発売Player11月号ではJのロングインタビューを掲載。濃厚なJのメッセージをご堪能いただきたい。