Photo by KEVIN WESTENBERG
昨年発売されたピンク・フロイドの『永遠/TOWA』は、故リチャード・ライトの追悼にしてピンク・フロイドの最終作だったわけだが、それから1年経たずしてデヴィッド・ギルモアのソロ4th『飛翔』が完成した。06年の『オン・アン・アイランド』ではまさにピンク・フロイドの再来を感じさせたが、新作ではより解放された音楽性を示している。フランス国鉄駅のジングルにインスピレーションを得たタイトル曲「ラトル・ザット・ロック」を筆頭に、「失楽園」第2巻にインスパイアされたポーリー・サムソンの歌詞、息子であるチャーリー・ギルモアの反政府デモによる投獄に端を発した刑務所の囚人による「ザ・リバティ・クワイア」の参加、クロスビー&ナッシュやロバート・ワイアットなどのゲスト参加、そしてリチャード・ライトとの「バーン・ジャム」未発表映像ボーナス特典など興味を引くキーワードに溢れた作品だ。
こちらがタイトル曲「ラトル・ザット・ロック〜自由への飛翔」のPV。モノクロのアニメ映像とリンクしている。
こちらはデヴィッドによるアルバム制作コメント。パートナーのポーリー・サムソンも語っている。
本誌ではアルバムのプロデュースを手掛けたロキシー・ミュージック/ソロのフィル・マンザネラに話を訊いた。
プロデューサーとしてアルバムの聴きどころだと思うのは?
僕は「夢のままに」という曲が大好きなんだ。これは彼のいつもの作風とは違って、デヴィッドにとって非常に重要なことについて歌ったひとつの完成された作品だ。アルツハイマーを患った彼の母親についての歌なんだ。素晴らしいコード・シークエンス、素晴らしいソロが入っている。それと「ラトル・ザット・ロック」もいいし、「午前5時の旋律」もデヴィッドらしいプレイが聴かる。まさに僕たちが彼に求めているものって感じの曲だよ。美しいオーケストラとエレクトリックギターが入っていて、しかも彼の声がいい。歌う声とギターの声の両方がしっかりフィーチャーされていて彼の魅力が凝縮されている曲だ。それからアルバムとして長過ぎないのがいいね。たくさんの曲をボツにした。最高のものだけを残して、アルバムとして通して聴けるものにした。朝に始まって夜に終わるまで、日中心に浮かぶこと、話し合ったこと、抱えている問題など、デヴィットとポーリーの間のとても個人的なステートメントが無駄なく、しかしきちんと丁寧に描き出されているよ。
デヴィッド・ギルモア 飛翔 ソニーミュージック 9月23日 デラックスCD+BD SICP−30815〜16 5,000円(税抜) デラックスCD+DVD SICP-30817〜18 4,000円(税抜) 通常盤 SICP-30819 2,500円(税抜)
2015年11月号(10/2発売)に記事掲載