その代表曲は、78年の2ndソロアルバム『バック・オン・ザ・ストリーツ』に収録された「パリの散歩道」。もちろんシングルでもヒットした名バラードだが、渾身のプレイとはまさにこのこと。因みに最近では、ソチオリンピックで金メダルを獲得した羽生結弦選手の演目曲としても知られている。
この「パリの散歩道」のレコーディングは、フリートウッド・マックのピーター・グリーンから譲り受けたレスポール“グリーニー”が使用された。グリーニーは59年製のレスポール・スタンダードで、ミックス・ポジションでフェイズアウト・トーンが得られるようになっているものだったが、ギタープレイヤーとしての才能を認められたゲイリーに、金額ではなく譲られたという美談が残されている。そのトーンがよくわかるのがこの「ミッドナイト・ブルース」だ。
ゲイリーの長いギタリスト人生の中で、ピーターから譲られたこのフェイズアウト・トーンはひとつのシグネチャー・トーンになったと言える。それはまさにブルースのためのトーンだったのだろう。この偉大なる孤高のギタリストを、今再び追悼した。
2014年4月号(3/1発売)に特集掲載