Photo by TOMUJI OHTANI
9月2日発売Player10月号のDEAR MY PARTNERSのコーナーでは酒井泰三が登場。80年代中盤から90年代中頃まで近藤等則IMAのギタリスト/ベーシストとして、ワールドワイドな活動を展開した酒井泰三は、93年のソロアルバム『EAT JUNK』でのソロデビュー以後は、独自のグルーヴ追求に勤しんできた。今年2月にはNO-MAD名義で20年振りとなるリーダーアルバム『NO-MAD LIVE AT SHOWBOAT 2012』をリリース。ワイルドでエモーショナルなギタープレイ、そしてブルージーでハスキーな歌声の魅力は健在だった。しかし近年は彼の周辺、そして彼自身にも本当に様々なことが起きたということで、そうしたこともすべてこのライブ盤『NO-MAD LIVE AT SHOWBOAT 2012』には焼きつかれている。
酒井泰三が愛器オールローズウッド・ストラトを手にしたNO-MADの演奏!
とてつもない濃密度なアルバムなので記事には書ききれなかったと思うが、ツインドラムス、ツインギターでヴァイオリンを擁するNO-MADの演奏は、嶋田吉隆、佐野康夫、今堀恒雄、太田恵資、ナスノミツルという円熟したミュージシャン達による到達点ゆえのバンドマジックが満載である。テーマとなるリフやメロディ、楽曲によっては酒井泰三のヴォーカルもフィーチャーされるのだが、いずれも長時間に渡るセッションが基軸。アドリブもたっぷりだし、そのときの場の空気感だったりヴァイブレーション、オーディエンスの反応で演奏は様変わりする。その意味ではジャズ的な手法による演奏なのだが、6人のノリが渦を巻いて上昇していくようなNO-MADならではの高揚感と、シンプルながらもキャッチーさを擁したテーマに日本人ならではのワビサビが加味されているのが酒井泰三のリーダーバンドらしい。そしてこの点はIMAバンドから貫かれている部分でもある。
近藤等則IMA「337」。アイバニーズのMCベースをプレイ!
クロスオーバー/ジャズ/フュージョンのシーンの中で語れることが多かった近藤等則IMAだが、フリージャズ精神旺盛ながらもその核は非常にロックだったと思う。この曲などは特にメロディ主体の楽曲であると言えるが、その後の『BRAIN WAR』などにも継承される人力グルーヴたっぷりの演奏が堪能できる。しかしこんなライブ映像があったのかとびっくり…YouTubeって凄い。
近藤等則IMA「NO MORE BORDER LINE」当時開発されたばかりだったと思われるVESTER MANIAC VCB-2をプレイ。近藤等則とのツインヴォーカルもライブの観どころだった。
IMAバンドのもうひとつの持ち味はインダストリアルなビート感。『TOKYO ROSE』は当時のヒップホップ、クラブミュージックとインダストリアルビートを人力グルーヴの融合で、90年代シーンの行く末をいち早く提示してみせた衝撃策だった。IMAバンド時代、酒井泰三はRECK(FRICTION)とともにギター、ベースを楽曲によりシェアしていたが、その辺のエピソードもインタビューで楽しく語られている。
酒井泰三「SUNAKAZE」
現在酒井泰三がメインギターとして愛用しているのは、FENDER CUSTOM SHOP 1968 Rosewood Stratocaster。フェンダーのマスタービルダーだった故ジョン・イングリッシュが製作したモデルで、その名の通りなんとオールローズウッドによる重量感のあるストラトだ。これがストラトか!?と驚くほどヘヴィウェイトなギターだが、酒井曰く「それでも最近は木が乾いてきたせいか以前ほどではないです」とのこと。このギターとの出逢いについてもインタビューで言及している。
FENDER CUSTOM SHOP 1968 Rosewood Stratocaster
Photo by TOMUJI OHTANI
酒井泰三のユニークなギタリスト・ヒストリーが語られた 9月2日発売Player10月号のDEAR MY PARTNERSをぜひご覧いただきたい。なお読者プレゼントとして、NO-MADの最新作『NO-MAD LIVE AT SHOWBOAT 2012』を直筆サイン入りで1名様に。こちらの応募要項を参考の上メールにてお送りいただきたい。
ノー・マッド
ライブ・アット・ショーボート 2102
ジェフズ・ミュージック CD
JICD-0008 2月1日 2,100円
2013年8月26日