L to R:佐藤雄駿(vo,g)田子剛(g)
06年のデビュー以後、佐藤雄駿による死生観をモチーフとした文学的な歌詞、そしてキャッチーな楽曲で意欲的な活動を展開してきたギターロックバンド、
デビュー当時から卓越した演奏技術を備えたバンドで、その楽曲といいプレイスタンスといい、ギターロックバンドと軽々と書いてはみるものの何処か枠にしっくり収まらないところのあるバンドです。今年は佐藤雄駿(vo,g)が小説家でデビューするというサプライズもありました。単にステレオタイプの概念ではなくて、様々な“死”への捕らえ方、もしくは捕らわれ方というか、そういうのに取り憑かれた様々な主人公が登場する短編小説集となっており、作品にもよりますが意外とその描き方は軽快でありユーモラスです。予定調和的な結末に行かないところも彼ならではという気がします。この小説が発端となり、この本の購買特典として同名のソロEPも発表されたのですが、この一連の連作としてなんとノンシープも同名の新作を完成。NON'SHEEPの『悪魔の飼育』は、田子剛のアグレッシブなドライブサウンドをフィーチャーした新境地。ピック弾き、指弾き、タップング、スラッピングなど、様々なギタープレイを聴かせており圧巻です。
NON'SHEEP「悪魔の飼育」全曲試聴
さて本誌では掲載しきれなかったのですが、『悪魔の飼育』ツアーの西川口ハーツ公演でNON'SHEEPの弦楽器を撮影してきたので(額賀君、ごめん!)、ここで彼らの愛器をご紹介します。
田子剛 FENDER Eric Clapton Storatocaster“Blackie”
NON'SHEEPのリードギタリストである田子君が近年メインギターとして愛用し続けているのがエリック・クラプトンのシグネチャーストラト。ヘッドストックにクラプトンのサインがプリントされるとともに、ブラック・フィニッシュのモデルに関しては“Blackie”の文字も入れられています。世界に絶大なファンを持つクラプトンだけあり、これまで様々なブラッキーが現在にいたるまで市販化されているわけですが、本器はレースセンサー・ピックアップを搭載した初期型モデル。ローノイズのサウンドであり、田子君の繊細な指のタッチに対してリアルに反応してくれる1本です。またメイプル指板が好みという点においても田子君の理想に近かったようですね。Playerのインタビューで『悪魔の飼育』はとりわけブラッキー1本でプレイしたかったという旨を語ってくれております。ちなみに初代ブラッキーは88年に発売されたのですが、本器はCNシリアルであることから90年代製のようですね。
佐藤雄駿 FENDER American Vintage'62 Jaguar
これまでアメリカン・デラックス・テレキャスターを愛用してきた佐藤雄駿ですが、『悪魔の飼育』のレコーディングにおいて田子君が歪みのサウンド主体でアプローチしたことにより、シャープなトーンを産み出すジャガーをプレイするようになりました。本器はオリジナルのラージヘッドストック仕様、ピックアップにおけるポールピースの磁界をコントロールする“ヨーク”(ギザギザ状のパーツ)を擁したシングルコイル、ジャガー最大のトレードマークであるフローティングトレモロを搭載するなど、62年製ジャガーをリイシューしたヴィンテージシリーズの1本。独特のコントロールシステムを備えており、実に多彩なサウンドメイキングが可能なのと、比較的パワフルなシングルコイルサウンドが魅力です。62年のデビュー当時はフェンダー・エレクトリックギターのトップ・オブ・ザ・ラインとして位置づけられていたモデルでもあります。
渡辺弘尚 FEDNER American Standard Jazz Bass
長く空席だったNON'SHEEPのベーシストの座に就いた渡辺弘尚は、4人の中で特にオーディエンスを煽るステージングが圧巻ですね。『悪魔の飼育』においてはユニークなフレージングとプレイアプローチで、新たなNON'SHEEPのバンドサウンド構築に大きく貢献したのではないかと。そんな渡辺がプレイしていたのは02〜03年と思われるアメスタのジャズベース。一見レリック仕様と思うほどの貫禄ですが、御本人に聞いたところ、経年変化で剥がれたものと意図的に剥がれてしまったものがあるのだそうです。肝はピックアップで、カスタムショップ製のものに交換されており、トーンノブをプルするとピックアップの回路が並列から直列に切り替わるブーストスイッチが搭載されているのだそう。また、現在ブリッジをオールドタイプに換えようと企んでいるのだそうです。
なおドラマーの額賀康孝は、最新作『悪魔の飼育』のレコーディングでラディック・ドラムセットと主にジルジャンのAカスタムのシンバル類でプレイした模様。4分打ちのダンサンブルなビートからどっしりとしたミディアムナンバーまで、言わずもがな彼の歯切れの良いドラミングもまたNON'SHEEPの要であります。『悪魔の飼育』を引っさげての全国ツアーもいよいよ終盤に。ぜひ都内近郊の方、ライブのほうチェックしてみてください!
NON'SHEEP Live Schedule
■11/9(金)渋谷club 乙-kinoto-
w/ butter butter / SAMURAI JACK UNIVERSE / ジョゼ / 夏の芽 /他
http://kinoto.jp/
ツアーファイナルワンマン!
■11/25(日)渋谷O-CREST
OPEN 18:30 START 19:00
前売\3000 当日\3500(DRINK別)
http://shibuya-o.com/
http://nonsheep.com/
ノンシープ
悪魔の飼育
ストックファーム CD
SFCD-002 9月19日 1,000円
2012年11月8日