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須藤寿GATALI ACOUSTIC SET 語るように歌い、歌うように語る

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 10月2日(火)発売のPlayer11月号にインタビューが掲載される“須藤寿 GATALI ACOUSTIC SET”(須藤、長岡亮介、gomesの3名が揃い踏みです!)。先週は須藤寿の単独インタビュー(http://ymmplayer.seesaa.net/article/293535876.html)を掲載しましたが、今回は9月27日(火)に代官山UNITで行われたリリース・パーティー「須藤寿 GATALI ACOUSTIC SET "The Great Escape" PARTY」の模様をレポート!

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 チョコレートなどの菓子類が置かれた木製の小さなテーブル、ゆったりと寛げる大きなソファ、ステージ後方の左右に配された観葉植物…。今年2月の初ワンマン(http://ymmplayer.seesaa.net/article/253246084.html)同様、ステージ上は宛ら“須藤寿の部屋”だった。ただひとつ違うこと、それは密接で親密な距離感と空間でありながらも、そこから時間や国境も軽く超えた“壮大なる逃避行”へと聴き手を誘ってくれたことだろう。去る9月26日(水)に1stアルバム『The Great Escape』(日本コロムビア)をリリースした須藤寿 GATALI ACOUSTIC SET。幾度か彼らのライブを観覧しているが、本プロジェクトの醍醐味、“須藤寿のやりたかったこと”が実を結び、美しく花開いたリリース・パーティーとなった。

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 定刻とほぼ同時に鳴り響いたSEはThe Beach Boysの「California Girls」(10月2日(火)発売の本誌インタビューにて須藤は、メンバー全員がヴォーカルを取れることからGATALIを“現代のビーチ・ボーイズ”と語っている)。緩やかな西海岸のムードに乗って、発足当初からのメンバーである長岡亮介(g)とgomes(key)、バンド編成時のライブでサポートを務めるケイタイモ(key)と伊藤大地(ds)がステージイン。ケイタイモは椅子に、長岡はソファに深く腰を下ろし、バイオリズムを重ね合わせるようにマーク・ワーツ・オーケストラのカバー「Theme from a Teenage Opera」で2時間強のインナートリップは幕を開けた。続く「あそびいこう」で早くも際立つのはコーラスワークの妙だ。ヴォーカリストとしての顔を持つ長岡とgomesの両名は当然としても、更にケイタイモが加わることでスキャット・コーラスは重奏的に。アルバム同様シームレスに繋がれた「楽しい時間旅行」では伊藤の澄んだ口笛がメインメロディをなぞり、アウトロでは「あそびいこう」の歌詞を乗せるなど(キーが同じなので本当に自然でした)、音源の再現性に捕われないフリーキーなアレンジで堪能させる。

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 だからこそ“今日はアルバムの曲順にやります(笑)!”という身も蓋もない序盤のMCにも、次への期待値が削がれることはなかった。スペシャル・ゲストとしてコトリンゴを招いた「ウィークエンド-Theme From The Great Escape-」も然り。オリジナルでは全編プログラミングによる楽曲の為、長岡とケイタイモもノードをプレイしての“クラフトワーク”状態と相成る。一方で「騒々しいバナナ」や「フェアウェル」ではgomesがテレキャスター・カスタムをプレイしたりと(因みに長岡のメイン・ギターは自身でリフィニッシュした鮮やかなモズライト。曲によってはダンエレクトロのPRO-1も使用)、フレキシブルな編成で展開していく。とりわけ「僕はゲリラ」でのメンバー紹介も兼ねたソロ回しでは、ややレイドバック気味だたフロアが一気に沸き上がるハイライトも。

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 またイベント出演時でも大半を占めていたGATALI部分(MC)も、ワンマンとあって絶好調。なんの衒いも無く演奏してしまえば約40分で終わってしまうはずの公演を2時間以上のボリュームへと足らしめたのは他愛も無さ過ぎる雑談である。しかし、それが公演の間延びや失速には繋がらず、演奏中と何ら変わらぬ尊い時間として流れていくのは須藤寿のパーソナリティこそが成せる業。語りかけるように歌い、歌い上げるように語る…それがGATALIなのだ。筋書きも着地点も定まらぬ会話は、まさしく『The Great Escape』の平熱感と相通ずる(とは言え、ここでは書けないような内容も含めて殆どが爆笑必至のエピソードではあったが)。

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 本編のクライマックスはギターと歌のみのオリジナルから大きな変貌を遂げた「太陽の季節」、元DOPING PANDAの古川裕からの提供曲「フェアウェル」、髭のベーシスト・宮川の結婚に際して制作されたという「ハッピー・ウェディング」で祝祭感に包まれてフィナーレ。アンコールでは須藤が曲のフリを間違えるハプニング(恐らく竹内まりや「元気を出して」を演ろうとしていた)がありつつ「あの時君は若かった」(ザ・スパイダーズ)、「学園天国」(フィンガー5)でもキーが定まらずに2回仕切り直すなど、グダグダな、だからこそGATALIらしく、GATALIにしか出来ない緩やかなムードが満開に。お決まりのコール&レスポンスも決め、パーティーの名に相応しい大団円と相成った。

10〜11月からは東名阪のツアーが展開される。MC、また終演後の須藤の言葉によれば、このリリース・パーティーとは大幅に異なるメニューを用意しているらしい。既にソールドアウトの公演も出ている為、早目にチケットを確保して頂きたい。ライブとは、音楽とは、かくも自由で良いのかと驚かされることは保証します。

TEXT:KENTA TOGAWA


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須藤寿 GATALI ACOUSTIC SET
The Great Escape
日本コロムビア CD
COCP-37553 9月26日 2,625円


須藤寿 GATALI ACOUSTIC SET "The Great Escape" TOUR

10/18(木)東京 青山CAY(トリオ編成・自由席)

10/19(金)東京 青山CAY(バンド編成・立見)

OPEN 18:00/START 19:00

チケット料金:¥4,300(税込・ドリンク別・整理番号付)
[問]CAY:03-3498-1171



10/26(金)京都 磔磔(トリオ編成・自由席)

10/27(土)心斎橋 Music Club JANUS(バンド編成・立見)

OPEN 18:00/START 19:00

チケット料金:¥4,300(税込・ドリンク別・整理番号付)
[問]GREENS:06-6882-1224



11/01(木)名古屋 TOKUZO(トリオ編成・自由席)

11/02(金)名古屋 TOKUZO(バンド編成・立見)

OPEN 18:00/START 19:00

チケット料金:¥4,300(税込・ドリンク別・整理番号付)
[問]JAILHOUSE:052-936-6041



2012年10月1日