Hanaboy『THE SOUTH POLE』 CRCP-40187
6月リリースの『Your Summer』、10月リリースの『THE SOUTH POLE』と2枚のミニ・アルバムをクラウンよりリリース、満を持してメジャー・シーンに進出したHanaboy。Miwako(vo,pf,key)の柔らかな歌声とセンシティヴなソングライティングで注目を浴びている彼女たちのワンマン・ライヴが、11月8日青山月見る君ヲ想フにて行なわれた。ところで、このライヴはとりわけ従来のファンはハラハラドキドキで迎えることとなった。というのも、ベーシストのMacoto脱退が事前に告げられていたからである。ギターレスの女性voピアノ・トリオとしてその名をじわじわと浸透させてきただけに、いったいどんなライヴになるのかが僕にもわからなかった。
Hanaboy『Your Summer』 CRCP-40176
会場に足を運んでまず驚いたのは、ステージにギターがセットされている! さらに中央のYAMAHAのエレキ・ピアノCPのほかに右手にキーボード・セットがある! なんとサポートのギター、キーボード、ベースを率いての、史上初の5人編成Hanaboyが今回のライヴの観どころになっていたのだ。そして、開演時間をしばし過ぎてメンバーがステージに登場、やがて印象的なピアノのアルペジオ・リフが鳴り響く…各地のFMでパワー・プレイされていたので、聴きおぼえあるひとも多いだろう「会いたい夜は雨」だ。しかし、Miwakoがいない…あれ!? と思っていたら、ザ・ローリング・ストーンズのベロTシャツにチェックのアウターを羽織ったMiwakoも遅れて登場。しかも、次に観せたのは中央のスタンド・マイクで歌うというヴォーカリストに徹した姿だったのある。彼女もMCで「今日は初試みばかり」「ギターが入ったバンド編成で一度やってみたかった」と話していたが、まさにこの夜はより自由度を広げて、さらなる大きなHanaboyの可能性を感じさせるライヴ内容だった。
2曲目の「PENGUIN」よりMiwakoがピアノを弾きながらのいつもの編成+αとなり、「約束」「青い夏」などお馴染みのレパートリーが披露されていく。さらに「これ聴いて元気になって下さい」というMCとともに新曲「You Can Do it」も披露。“君は一人なんかじゃないよ 私がいつもそばにいるよ”というシンプルなメッセージが印象的な一曲だった。続いてはなんとザ・フォーク・クルセイダーズの「悲しくてやりきれない」のカヴァーをプレイする一幕も! また、Miwakoの弾き語りコーナーでは「キミといたキセツにウソはなかった」をしっとりと歌い上げた。その伸びやかでシルキーなヴォーカル、しかし何処かヒリヒリしたクールさも兼ね備えたところに、個人的に吉田美奈子を思い起こすところがあったりもする。また、そのクールな奥行きっていう部分が一番クローズアップされていたのは、本編最後で演奏された「THE SOUTH POLE STAR」。重厚なピアノ・リフと骨太なグルーヴでぐいぐい押しまくる作風で『THE SOUTH POLE』でも大きな聴きどころになっていたこの大曲、やはり生だとさらに凄い聴き応えがある。
鳴り止まないアンコールに応えて再登場したHanaboy。Miwakoの「自分に嘘のない音楽をどんどん作ってみんなに届けたい」という誓いの言葉を述べた後にプレイされたのは、Hanaboyとの出逢いの曲になったひとも多いであろう「The Brand New Morning」。僕は最初にこの曲を聴いたときから、あえてギターレス編成を声高にするのではなくて、もっとナチュラルな視点でプレイするバンドって印象を持っていたのだけれど、今回アコギやエレキど導入したバンド・サウンドを聴いてみて「やっぱり、これでしょう!」って率直に思った。とはいえ、「遠く離れても」「Hanaday」はピアノ・トリオ編成でプレイされたわけだし、新生Hanaboyって仰々しいものじゃなくて基本的にいつものスタンス。でも“楽曲がさらに美味になるスパイスはちゃんと加えて…”っていう自然な発想の転換は、確実にHanaboyの色彩をより華やかにしていた。スタンド・マイクで立って歌うMiwakoの姿もキマッていたし、軽いフットワークでいろんなHanaboyをどんどん観せていっていいんじゃないかって思う。
ちなみに機材面で面白かったのは、Miwakoのピアノの足下にはサステイン・ペダルとともに、MUSITRONICSのヴィンテージ・コーラスとMXRのコンプレッサーがセットされていた点。楽曲によってこれらのエフェクト・サウンドを使うのも初試みだった模様。また、Kentarouのドラム・セットもカナダのブランド、AYOTTE(エイヨット)というのも珍しかった。Hanaboyのバンド・サウンドには70年代ニューミュージック黎明期のテイストを感じさせたり、かと思えば曲によってはパンキッシュとも思えるアグレッシヴさも混在しているのが魅力である。夏の曲を集めた『Your Summer』、冬の曲を集めた『THE SOUTH POLE』という2枚のミニ・アルバムでその醍醐味はたっぷり味わえるので、未聴のひとはまずチェックしてみてほしい。また、すでに2008年の新作にも着手しているようなので、今後の展開についてもますます楽しみである。
http://www.hanaboy.net/
Thanks to CROWN RECORDS

